日本人にとって地獄という存在は昔から身近なものだった。
それと同じように、日本と近い文化を共有している中国でも人間は死後に地獄へ行くと考えられていて、恐山のようにあの世に近い場所とされる地域がいくつかある。
中国では恐山ように自然の形そのままであの世を感じるという感性が少ないようだ。
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そんなこの町には日本では考えられない施設が存在する。
名山鬼城という地獄をモチーフにした中国国営の総合テーマパークだ。
園内には金色に輝く閻魔大王や、鬼によって残虐な刑罰を受けている人々等、死後をモチーフにした展示がいくつも並んでいる。日本ではあまり見ることが出来ないリアルな展示であるが、名山鬼城が誕生した理由(豊都が死後の世界に近い場所とされた理由)が面白いのだ。
豊都はかつてそのような場所であると考えられてきたわけではなかったのだが、漢の時代に豊都の山で陰長生と王方平という人物が仙人になる修業をしたという噂が町中に広まり、時が流れるにつれて断片的に噂が誇張され、陰長生の「陰」と王方平の「王」が混同されてしまい陰王がいた山があると考えられるようになった。
陰王とは閻魔大王のことで、山に住む閻魔大王の怒りを呼び起こさないように町人達は地獄をモチーフにした寺院等を多く建設して以来、中国では豊都が死者の集まる地と考えられるようになったのだ。
今では施設の拡張が進み、世界中から観光客が訪れるようになる日も遠くないと言われている。