かつて太陽系の惑星を覚える際に「水金地火木土天海冥」という連の言葉を学習したが、現在の太陽系の惑星は「水金地火木土天海」と習う。
呼んで字のごとく、冥の文字、つまり冥王星が無くなっている。2006年に冥王星が太陽系の惑星から外されてしまったことは今でもトレンドであるかのように語られることが多い。
冥王星が太陽系の惑星から除外された理由はその大きさが惑星と呼ぶに値しないといったことである。そしてその原因となった星は準惑星エリス(2003UB313)という星である。
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同研究チームはこれまでにも太陽系外縁部で新たな天体を発見していたのだが、その際は発見した天体を新しい惑星の発見とはしていなかった。しかし、新たに発見した2003UB313を新しい惑星と主張した理由は天体の構成成分が冥王星と同じように氷を主成分とした天体であり、直径2600km(誤差400km)ということが判明し、冥王星よりも大きな天体であることが判明したからであった。
発見当時は太陽系の惑星という定義も曖昧で、太陽の周りを公転するある程度の大きさがある天体とされてきたため、発見当初は太陽系で10番目の惑星として話題となっていたがその主張に対して学会から疑問の声が投げかけられた。
発見者たちは2003UB313が惑星と定義されるべき根拠として冥王星が惑星として認められていることを主張。惑星の定義がその大きさ根拠となるならば冥王星よりも大きな天体は当然太陽系の惑星であるといった主張がなされた。
新しい太陽系の惑星を認定するかという議論は後にプラハの暑い夏と呼ばれることになる2006年にチェコの首都プラハで開催された第26回国際天文学連合総会で議論された。その際、新たな惑星の認定以前にそもそも冥王星を惑星と位置付けること自体に無理があるのではという論争が起こった。
冥王星はその他の太陽系の惑星と構成成分も違う。冥王星以外の惑星は岩石またはガスで構成されているのに対し、冥王星だけは氷の塊で構成されている。さらに冥王星が発見された1930年当時の望遠鏡の制度は今と比較して低いもので、実際の大きさよりも大きく見積もられていた。本来は月よりも小さな天体であることも判明していた。
これらの理由から冥王星は惑星から準惑星へと降格してしまったのだが、議論の中で冥王星はアメリカ人が発見した唯一の惑星であったためにアメリカ学会の関係者がなかなか首を縦に振らなかったという逸話も残っている。
現在冥王星降格の原因となった天体は準惑星エリスとして親しまれている。