人間は体の90%以上が水で構成されていて、成人では体内の40%、幼児であれば20%の水分が無くなるだけで脱水症状となり、最悪の場合命を落とすことになる。
このように人間に限らず全ての生物にとって水は無くてはならない存在であるが、そんな法則に逆らうかのように水分をほとんど必要としない屈強な生物がいる。
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水分を必要としないと聞けば信じがたいが、アフリカのナイジェリアやマラウイに生息しているこの昆虫は1度体中の水分が無くなって干からびた状態に立った場合にも再び水分を与えることで再び生命活動を再開することが出来る生物なのだ。
ネムリユスリカが生息しているアフリカの乾燥地帯では1年間の内で約8ヶ月もの間雨が全く降らない地域で、乾燥が始まる時期になると水場に生息している虫たちは徐々に干からびて死んでいく(地下に僅かに水が残る場所で乾燥期をやり過ごす)。
そんな中でネムリユスリカは干からびたままで乾燥期をやり過ごし、再び雨季になった時に水を浴びて元に戻るという習性を持っている。
この水を必要としない生態に関しては以前から研究が進んでいて、そのメカニズムについてもある程度判明している。
どうやら乾燥状態となったネムリユスリカはトレハロースと呼ばれる物質を体内で大量に生成して失われた水分の代わりに蓄積していく。蓄積されたトレハロースはガラス化して細胞やタンパク質等を保護する役割を担うようになる。
以上がネムリユスリカが水を必要としない理由なのだが、一体なぜネムリユスリカだけがこのような特徴を備えるに至ったのかは判明していない。
また日本に生息しているユスリカの仲間と比較したところ、日本のユスリカにはこれほどの生命力が無いことや、体内のグリコーゲンの比率に違いがあることも判明している。
なおネムリユスリカの驚異的な生命力を表す逸話としては、-270°の低温に5分間さらされて生き延びた、200°の熱湯に5分間入れて蘇生したなどの報告がある。
人間では信じられないこの生命力、人体に応用出来れば画期的な出来事になるだろう。