宇宙空間には人間の想像を絶する環境ばかりが広がっている。
例えば水星では太陽の光が当たる場所の気温は360℃であるのに対し、太陽の光に当たらない場所の気温は-170℃である。
このように過酷な宇宙だが、現在知られている中で最も過酷な環境の1つと考えられているのが「ブーメラン星雲」である。
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宇宙で最も温度の低い場所という意味は、あくまで現在知られている宇宙の中では最も低温であるということで、自然界の最低温度である絶対零度よりは高い。
絶対零度
絶対零度とは、自然界で存在しうる最も温度の低い状態のことで、熱振動によるエネルギー発生が無くなり、原子の振動による熱エネルギーすら発生していない状態のことである。
その温度は摂氏-273.15 ℃である。
ちなみに宇宙空間などがこの絶対零度の領域である思い込みがちの人が多いが、実は宇宙空間は絶対零度ではなく、ビッグバンが発生した時の名残で-270℃と、わずかに温度が存在している。
ブーメラン星雲は1980年にキース・タイラーとマイク・スコットの2人によって発見され、当時はまだ観測精度が高くなかったためにブーメランのような形であると捉えられていた。しかし、後の正確な調査で、ブーメラン星雲は蝶ネクタイや砂時計のような形をしていることが判明した。さらに最新の調査では、この形でさえ光の拡散によるもので、本当の形でないことが判明した。
↓近頃判明したブーメラン星雲の真の姿
ブーメラン星雲最大の特徴であるその温度は、現在知られている限り宇宙空間の温度(-270℃)よりも低い唯一の場所とされている摂氏-272℃である(これはほぼ絶対零度である)。
この低温の原因は、星雲全体にガスによる風が吹いているためであると予測されている。
ブーメラン星雲は、寿命を迎えた恒星が自身のエネルギーをガスとして外側に放出し、その際に秒速164kmという想像を絶する風が吹く。そして、その風によって周囲の温度が下がると考えられている。
