天使や悪魔などといった存在は、超常的(人間の力が及ばない存在)な存在として描かれることが多く、いくつかの例外こそあるものの、その誕生には神の力が必要であるという設定が一般的だ。
しかし世界には人間の血を引いた悪魔の伝承が存在する。
その悪魔の名前はゴグとマゴグ、ローマ皇帝の血を引いているという。
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紀元3世紀のローマ皇帝ディオクレディヌスには娘がいた。娘は自身の夫を殺した罪で海に流されてしまい、ブリテン島(現在のイギリス)に流れ着いた後に悪魔の妻となって多くの子供を残したという。
子供達は巨人の姿をした悪魔であり、その多くは戦いによって命を落としていったのだがゴグとマゴグという兄弟達は生き残っていたとされ、兄弟は後にロンドンの宮廷で兵士としての人生を全うしてその生涯を閉じたと伝えられている。
悪魔が人間に使えていたというのは信じがたいことであるが、彼らの死後にその栄誉を称えて彫像が制作されたという記録が残っている(オリジナルの彫像はロンドン大火で焼失し、後に作られた物もドイツによる空襲で行方不明となっている)。
キリスト教の影響が濃いヨーロッパにて悪魔の子供が賞賛されることは極めて珍しいのだが、現在考えられている最も信憑性のある説がある。ディオクレディヌスはキリスト教を迫害したローマ皇帝として有名で、キリスト教徒によってはネロやカリグラのように忌むべき存在であった。そんな反キリスト教の人間を悪魔に近い存在と表現し、血の繋がったゴグとマゴグを悪魔そのものと表したのではないかとする説だ(これは異教の神々を全てデーモンと表現するキリスト教の特徴からも信憑性が高いといえる)。
世の中に存在する悪魔の記録、その正体は人間だったのかもしれない。