彗星の接近は我々にとって非日常を体験する機会になる。
日食や月食、流星群と並んで誰しもが楽しめ、
少年の眼差しを取り戻す時間となる。
実に素晴らしい天体ショーだ。
そんな彗星の接近の時期が11月29日に迫っていることを一体どれだけの人が知っているだろうか。
その名もアイソン彗星。
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アイソン彗星という名前を聞いたことがある人は少ないだろう。
何故ならばこの彗星が発見されたのは2012年9月21日と最近なのだ。
国立天文台によると
アイソン彗星とは
ベラルーシのヴィタリー・ネフスキー(Vitali Nevski)とロシアのアルチョム・ノヴィチョノク(Artyom Novichonok)は、国際科学光学ネットワークの40cm反射望遠鏡を用いた観測で、かに座方向におよそ19等の彗星状の天体を捉えました。発見時、この天体にはわずかに拡散したコマが認められましたが、その後の複数の確認観測により彗星と確定され、「アイソン彗星(C/2012 S1(ISON))」と命名されました。アイソン(ISON)は、発見者が所属する国際科学光学ネットワーク(International Scientific Optical Network)の略称です。
この彗星の最も特徴的なことがある。
それは、
2度と地球に帰ってこない
ということだ。
彗星は長い周期で地球に帰ってくるものもあり、
一般的に有名な彗星はほとんどが回帰する彗星だ。
しかしこのアイソン彗星は1度きりしか見ることができないのだ。
上の画像のような軌道を描いているこのアイソン彗星。
軌道が変わらなければ今回の接近が太陽系の内側に入り込む最初で最後の機会であり、
2度と太陽の方へ戻ってこないことになる。
見え方 国立天文台より
2013年10月まで
アイソン彗星は、2013年5月から6月にかけてふたご座方向にあり、日の入り後の西の空に位置しています。6月上旬の明るさは14等台で、暗すぎて肉眼や小口径望遠鏡による眼視観測では見つけることはできません。7月には見かけの位置が太陽に近づくため観測できなくなります。
8月以降、近日点通過の11月29日までは、日の出前の東の空に位置し、8月にはふたご座からかに座方向に移動します。この頃の太陽からの距離は2天文単位以上とまだ遠く、まだまだ観察しやすい明るさにはなりません。
9月から10月にかけてしし座方向へと移り、見かけ上、火星と接近します。10月上旬から中旬は、順行する火星と一緒にしし座の中を移動していきます。
2013年11月から近日点通過まで
アイソン彗星は、11月上旬には、日の出前の空で、しし座からおとめ座方向に移ります。ようやく太陽からの距離も1天文単位を切るようになり、1日の見かけの移動量も大きくなります。11月後半には双眼鏡で見つけられる程度の明るさになると予想されており、条件がよければ肉眼でも見つけられるかもしれません。ただし、東の空での高度は日に日に低くなるため、東の空が開けた場所での観察が必要になります。
11月18日にはおとめ座の1等星スピカと見かけ上近づき、スピカが彗星を探す際のよい目印になります。11月17日、18日、19日には、スピカとアイソン彗星を双眼鏡の同一視野で見ることができます。
11月下旬には、急激に増光する可能性があります。肉眼でも尾が確認できるようになることを期待したいものです。この頃には、おとめ座からてんびん座方向へと移り、日の出前の東の空での高度はどんどん低くなって行きます。11月24日前後には、東の低空にある水星、土星と見かけ上近づきます。近日点通過数日前のこの頃には、アイソン彗星の明るさはいよいよマイナス等級に達すると予想されますが、見かけの位置も太陽にひじょうに近く高度も低くなり、観察はかなり難しくなります。 以降、近日点通過後まで眼視での観察は小休止となります。
12月に入ると、近日点を過ぎたアイソン彗星は、次第に太陽から遠ざかり、再び日の出前の東の空に姿を現します。へびつかい座からへび座(頭)方向に移動し、高度は日に日に高くなって、日を追うごとに観察しやすくなります。尾は近日点通過前よりも長く伸びて見やすくなると予想されています。 12月後半は、へび座(頭)からヘルクレス座、かんむり座方向へと移動し、下旬には日の出前の東の空だけでなく日の入り後の西の空でも観察できるようになります。12月27日頃には地球に最も近づきますが、近日点通過直後のような明るさはおそらく期待できないでしょう。
12月末から1月末までは、周極星となり一晩中沈まずに北の空に見え続け、1月8日には北極星に最も近づきます。この頃には、双眼鏡や望遠鏡を使わないと見つけられない明るさになっているでしょう。
ただし、前節でも述べたとおり、近日点通過後の明るさや見え方の予想はたいへん難しいため、具体的にどのように見えるかは、実際に彗星が近づかないことには分からないでしょう。
国立天文台より
・近日点通過の際は太陽が近くにあるらしいので観測の際は注意!
国立天文台の発表をまとめると、
・最接近は2013年11月28日である。
・10月から1月までの長い(たった3ヶ月弱とも言える)観測できる。
・2度と戻ってこない彗星なのでこの機を逃すと一生見ることができない。
・観測できる方角は主に東南東である(12月は北にも見える)。
・実際に彗星が明るく見ることができるのかは近日になるまでわからない。
・観測の際は太陽に注意。
そして10月17日、新たにハッブル宇宙望遠鏡が撮影したアイソン彗星の画像をNASAが公表した。
アイソン彗星の見え方
アイソン彗星の軌道
アイソン彗星 近日点通過前後