世界中の子供たちが楽しみにしているクリスマス。
綺麗なクリスマスツリーやイルミネーションが町中に広がるが、子供たちにとっての最大の楽しみはなんといってもサンタクロースが運んでくるクリスマスプレゼントである。
子供たちにとってサンタクロースは最高の客人なのだが、ドイツには一風変わった伝説が存在する。
それはブラックサンタクロース、日本では黒いサンタクロースと呼ばれる存在である。
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サンタクロースのモデルとされている人物は4世紀の東ローマ帝国に実在した司教聖ニコラスである。
聖ニコラスは真夜中に貧しい家庭を訪れて屋根から金貨を投げ入れていた。中には暖炉に靴下が掛けられていた家庭もあったことから、現在のように煙突から家に入って靴下にプレゼントを入れるという伝説が成立した。
肝心のブラックサンタクロースは、このサンタクロースのモデルとなった聖ニコラスの従者または助手とされている存在で、ドイツ各地で伝わっている存在である。
ドイツでの名称はクネヒト・ループレヒト(Knecht Ruprecht)。意味は従者や召使いという意味でサンタクロースと共に行動しているとされ、主にサンタの後ろから現れるとされている。
見た目は黒い服に伸びた髭、太ったサンタクロースに対して細身で痩せた姿で描かれることが多い。
このブラックサンタクロースの最大の特徴はサンタクロースのイメージを根底から覆してしまう行動である。
サンタクロースが子供たちにプレゼントや幸せを届けるのに対し、ブラックサンタクロースの贈物は棒切れやムチを、酷い時は豚の首などといったもので、場合によっては背中に持つ袋に子供を入れて連れ去ってしまうという。
実は無差別に嫌がらせのような行動をするのではなく、サンタクロースが良い子供達に対してプレゼントを渡すようにブラックサンタクロースは悪い子供達に対して非道な行いをする(当初は神に対する信仰心の無い子供達に対して罰を与えるという伝承であった)。
単純に行動だけを見ると怖い悪魔のような存在とされるが、実は悪い子供を懲らしめている熱血教育男の一面もあるため必ずしも悪の化身のような存在というわけではない。
実際にドイツではブラックサンタ(クネヒト・ループレヒト)がやってくるから悪いことをしてはいけないという教訓のように伝わっていることから、やはり子供にとっては得体の知れない恐ろしい存在に感じるのかもしれない。
クリスマスは世界各地で笑顔が広がるが、少し目線を変えるととても興味深い伝説が存在するのだ。