厚生労働省が公表した調査の結果、なんらかの食物アレルギーを持つ小中高生は2004年の時点で約33万人(2.6%)であったのに対して2013年に調査した際は約45万人(4.5%)に増加したことが明らかになった。
これまでにも食物アレルギーを持つ子供達が増えているとされてきたが、今回の調査結果が明らかになったことでより多くの関心が持たれると同時に、今後深刻な問題となる可能性が指摘されている。
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それにもかかわらずアレルギーを持つ児童が増加しているという点で、原因は現代の若い世代を覆う生活環境の中にあると考えられる。
アレルギーは免疫の過剰反応で、身近なものでは花粉症がそれである。
食物アレルギーは、特定の食べ物が体に入った際に体の免疫機能がそれを異物と認識して、異物を体の外に排出しようとする働きなので、本来は体にとって必要不可欠な機能でもあり、免疫が弱いと勘違いされがちであるがむしろ免疫が強すぎることが原因である。
体がアレルギー反応を起こすトリガーは、体内に入ってきた物質を異物であると認識した時である。逆に考えればアレルギーを持つ人にとっては異物と認識される対象が少し多いだけということになる。
現代の児童の間にアレルギーを持つ割合が増えている原因は衛生仮説に基づいたものが指摘されている。
より文明的な世の中になり清潔な環境の中で生まれ育った子供はより多くの対外物質を異物として認識してしまい、それがアレルギー増加となっているというもので、2004年のドイツにおいてすでに存在が証明されている。
つまり、体が対外物質に慣れ、それを異物と認識しなくなることでアレルギー反応が起こらなくなるのである(必ずしも良い面ばかりではなく、異物を異物と認識しない可能性もある)。
現代の子供たちを取り巻く環境は数十年前とは大きく変わり、少子化の影響から子供が(兄弟が)少なくなり一昔前よりも過保護に育てられることが多くなった。
アレルギー物質が無い食品の増加や、ある程度の偏った食生活(肉類ばかり食べるなど)が原因で結果的にアレルギーを発症してしまう。
原因は乳児期の生活環境であるため、ある程度の年齢を超えた場合には特別な機関でアレルギー物質を少量づつ体に含ませ慣れさせるという治療をする必要がある(絶対に一般人がやってはいけない)。
食物アレルギーは時としてアナフィラキシーショックを起こし、命を落とす可能性も秘めている危険なものである。
その危険性は多くの人々に認識されているが、原因は清潔すぎる環境や偏った食生活であることはあまり知られていない(小耳に挟んでも深刻に受け止めない場合もある)。
子供達の生育環境が清潔なのは良いことばかりではないという認識を持つことが今後必要になってくるだろう。