天使はそれを表現した絵や映像では常に美しい姿で描かれることが多い。
男性の場合でも女性の場合でも、共通しているのはその見た目が美しい(顔のパーツや体のスタイルが整っている)ことだ。
しかし、実際に天使の姿を書き留めている旧約聖書ではその姿を美形な人間とはしていない。
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では旧約聖書に記されている天使の姿とはどのようなものなのか。
第3エノク書の記述によると、エノクが出会った天使は16個の顔を持ち、それぞれ4つずつが東西南北に向けられているという異形の見た目であったらしい。また、オファニエルという天使に関する記述も存在し、先の天使のように前後左右に4つずつの顔を持ち、合計で876個の目を持つ姿とされている。
エゼキエル書の中で描かれているケルビムという天使は4つの顔を持つ(それぞれが人間・牛・獅子・鷲の顔)異形の姿であり、同じくエゼキエル書に登場するスロウンズという天使は体全体が車輪のような見た目をしていたとされ、無数の目を持つ存在とされている。
天使が異形の姿で描かれているのは旧約聖書である。聖書の中での天使の位置づけはあくまで神の使いとしての存在であり、人間に深く寄り添うという存在ではなかった。天使はそれまで人間とは格別した存在として描かれていたのだが、時が流れてキリスト教の布教という目的が重なったことが天使が人間のような見た目を持つに至った原因の1つかもしれない。