この少女はすでに死んでいると聞いてすぐに信じられる人は極僅かだろう。
実はこの少女、死して約100年の年月が経ったミイラなのだ。
世界で最も美しいとされているミイラは何故他のミイラのように吹かせずその美しさを保てるのだろうか。
一体どのような製法で生み出されたのか。
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この少女のミイラが安置されているのは、イタリアのパレルモにあるカプチン・フランシスコ修道会の聖ロザリア礼拝堂である。
ミイラ作成の経緯は、
将軍であったマリオ・ロンバルドの娘で、1920年に肺炎により2歳で亡くなった。
その後、ロザリアはカプチン会独特の死体埋葬方法であるミイラ保存をされることになる。しかしながら、カプチン会の納骨堂に安置されている約8000の遺体のほとんどが白骨化してしまっているなか、 それらのミイラと異なり、ロザリアは、死後90年以上経過しているにも拘らず、あたかも眠っているかのような状態で生前の姿をとどめ続けている。もともと父の希望でミイラ化されたが以後、数年で遺族が亡娘を参ることはなくなったという。アルフレッド・サラフィアという秘密主義の医師の手によって防腐処置を行われたロザリアは、長らくその製法は不明とされてきたが、2009年イタリアの生物人類学者であるピオンビーノ・マスカリの調査によってサラフィアの親族らが発見され、そこから本人が生前書き残していたミイラカルテが見つかり「ホルマリン」「塩化亜鉛」「アルコール」「サリチル酸」グリセリン」を使用して作られたものであると解明された。アルコールが遺体のミイラ化を促進した一方で、グリセリンが適度な湿潤を保ち、サリチル酸は菌の繁殖を防いだと考えられている。
特筆すべきは亜鉛塩の作用によりロザリアの体が腐敗を免れたと見られる。また、最後に頬に「パラフィン」が注入された。パラフィンは蝋燭の原料でもあり、パラフィンを注入することで顔をふっくらと保つことを目的としたものと考えられる。
Wikipediaより一部抜粋
ちなみに、この少女が安置されたカプチン・フランシスコ修道会の地下納骨堂はミイラが所狭しと並んでいる世界屈指のミステリースポットである。
「カタコンベ」と呼ばれるこの地下墓地はイタリア中に多く存在している。
どうやら、ミイラを残す理由としてはキリスト教の価値観に由来しているものがあるという。
人は最後の審判の日を迎えるまで、天国にも地獄にも行かずにその中間地点である煉獄を彷徨うとされ、最後の審判の後に魂が再び肉体に戻るという考えがある。
ロザリアは現在、鉄格子によって隔離された部屋に安置され、そのミイラを目前で見るのは特別な許可が必要となる。
パレルモに行く機会があればぜひ行ってみるのもいいかもしれない。