世界各地に数多く存在する天使の伝説の中でも、天使の中で双子という設定はとても珍しい。
メタトロンとサンダルフォンと呼ばれる天使は双子というだけでも珍しいのだが、なんと人間の身でありながら天使の地位に上り詰めた存在である。
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エルという言葉の意味はヘブライ語で神を表し、ミカエル(神に似た者)やガブリエル(神の英雄)、そしてラファエル(神に薬)のように天使として共通しているだけでなく、天使を神に近い存在として象徴する特徴でもあるのだ。
ある意味で神のしもべであることを印象付けられるネーミングであるが、じつはエルの名を持たない天使も存在する。
メタトロンとサンダルフォンという天使である。
メタトロンの名の由来はハッキリわかっておらず、ラテン語のメタトール(測る者)やギリシャ語のメタトラノス(支配者に次ぐ者)とされているが真相はわかっていない。
サンダルフォンの名の由来はギリシャ語で(共通の兄弟)という意味で、メタトロンに対して名の由来がハッキリしている。この点から、メタトロンの名の由来もギリシャ語の可能性が高い。
この2人の天使は名前にエルが付いていないだけではなく、なんと人間の身でありながら天使となったのだ。
天使となったのは2人の人間は旧約聖書の重要人物である神の記録係エノクと異教徒と戦ったエリヤという人物だ。
メタトロン誕生のきっかけは、エノク自身が書いたとされるエノク書によると、エノクが365歳の時に2人の天使に導かれて神の世界を見学し、神の命じられ宇宙の秘密を書物に書き残したとされ、神の世界にて「ラジエルの書」を参考にしながら30日間休むことなく本を書き続け、350巻にもなる書物を完成させた。
彼は後に30日間だけ地上に戻り(このタイミングでエノク書が残されたとされている)、息子たちに助言や指示を与えた後に再び天に昇り天使メタトロンとなった。
ちなみにメタトロンの見た目は我々が想像する天使とはかけ離れた容姿で、世界に匹敵する体の大きさに36対72枚の羽、さらに365000個の目を持つというものだ。
一方の天使サンダルフォンの人間時代の名前はエリヤ。エリヤの名前は「わが名はヤハウェ」という意味で、旧約聖書の「列王記」では異教徒に迫害されながらもヤハウェへの信仰を捨てなかった預言者として登場する。
イスラエルを追われたエリヤが荒野をさまよって疲れ果てていると、なんとその場に天使が降臨してパンと水を与えられる。
体力を回復した彼が40日後にホレブ山にて神に会い、弟子であるエリシャをイスラエルの王にせよという命令を受ける。
命を達成した後にエリシャの目の前でつむじ風(火の戦車)に乗って天に昇り、エリヤは天使サンダルフォンとなった。
サンダルフォンの姿は、歩いて500年かかるほどの距離と同じ大きさとされている。
これら2人は生きていた時代が違うのだが、名前にエルと付かない点や、本来は人間だった経緯などから天使の中の双子とされる場合が多い。