世の中には興味深い書物がたくさんある。
中でも聖書は最も不思議な書物といった表現をされることがあるが、そんな聖書に関連した不思議な発見がされている。
それを死海文書という。
死海文書とは、死海周辺で発見された写本の集まりである。
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これだけの文書が多くの壺の中に密封されていた。
死海文書を発見したのは地元の羊飼いの少年である。
発見された写本を調べてみると死海文書は3種類に分類でき、1つ目は「旧約聖書外典(正典には加えられていない文書)」「偽典(正典と外典にも含まれていない文章)」、2つ目は「旧約聖書正典」、3つ目は「戦いの書(光と闇の終末戦争に関する内容)」であった(中にはクムラン教団という死海文書を書いたと思われる宗派の戒律も含まれていたという)。
これら聖書に関連する写本の中で最も奇妙なものは「戦いの書」とされている。
旧約聖には存在しない内容で、何らかの理由によって意図的に削除されたのか、あるいは後世に伝わらなかったと考えられている。
「戦いの書」には終末戦争について描かれた記述がある。世界にはヨハネの黙示録や北欧神話のラグナロクを筆頭とした終末戦争の記述が数多く存在するが、「戦いの書」に書かれた終末戦争はさらに細かく記されていることが判明した。
「全ての神の民に救いが訪れ、神の側の者達には栄光が訪れ、サタンの側の者達は絶え間ない破壊に苛まれる」
「世から不平等が消え去り、闇の子が持つ特権は全て消え去るだろう」
「キッティーム(世界を征服する民族)による支配は終焉を迎える」
「光の子と闇の子の対決は最後の戦いである」
「両軍とも天使の助けを得て戦いを続けるが、神の意志は光の子に向くだろう」
といった内容で、さらに細かい描写も存在する。
「貧しい者の命は混乱の中で弄ばれ、迫りくる災厄が同調している」
「滅びの罠があちこちで開き、邪悪な網が全ての水面を覆い尽くす」
「滅びの矢が一斉に放たれ全て命中するだろう」
終末論者の中にはここで登場する滅びの矢を核兵器と解釈する者もいるようだ。
死海文書はこれまで存在していなかった終末論だけでなく、キリスト以外の救世主の存在を示唆していることも特筆するべきである。
「立法会議から離れて心のかたくななままに歩んではならない、アロンおよびイスラエルのメシアが現れるまでは」
といったような記述があり、イスラエルのメシア=キリストと解釈した場合にアロンというキリストと同格に位置づけられている人物の存在を示唆する内容がある。
確実視されているわけではないものの、旧約聖書に登場するモーセの兄としてアロンという人物の名が出てくることから、最も偉大な預言者の兄こそがメシアであると記しているという説もある。
これらの記述はキリストが(現存する聖書の内容が)唯一絶対な存在であると考えているカトリック教会の教えと異なっている点などから「失われていた真実」とされ一時的にもてはやされたことがある一方、現在では「隠された真実」という見方をする場合も多く、壺に密封されていた点などから「未来の世代に向けた真実」という解釈をする学者もいる。
仮に隠された真実であった場合、何故隠す必要があったのかという疑問が浮かぶ。
そこで専門家たちが出した仮説は、アロンという人物がメシアであることを隠す為に死海文書を隠したとしている。
今後世界のどこかに救世主としてキリストではない人物が現れるのではないかという説も囁かれている。
死海文書自体はそれ単独の存在であるため、謎の解明にはさらなる研究の時間がかかるだろう。
現在はオンラインでもその全てを見ることが出来る。
死海文書 読めんがな