聖書に幾度となく登場するドラゴンはキリスト教において悪しき存在として描かれることが多く、伝説上多くの聖人達がドラゴン退治によってその地位を確固たるものとしてきた。
そんなドラゴン退治という功績を残した人物の中で最も有名な人物は聖ゲオルギオスだろう。
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ローマ帝国ではキリスト教が許可されておらず、時の皇帝ディオクレティアヌスはゲオルギウスに改教を命じたものの彼は命令に従わなかった。当時の宗教に対する考え方は現代の様に寛容ではなく(宗教による一大勢力が国に脅威をもたらす可能性があったため)、ゲオルギウスは処刑されてしまった。
ローマ帝国にとっては異端の存在であってもキリスト教から見れば立派な殉教者であり、ゲオルギウスの生涯に多くの伝説が孵化されていく原因となった。
伝説によると、旅をしながら各地を放浪していたゲオルギウスは毒を撒き散らすドラゴンに襲われている国(グレートブリテン島とされる場合が多い)を訪れた。ドラゴンの怒りを鎮めるためにその国の王女が生贄に差し出されることを知った彼は、国民全員がキリスト教へ改教することを条件にドラゴンを退治して見事王女救出に成功する(この伝説の影響でゲオルギウスの姿は紋章に使用されていたこともある)。
伝説上のゲオルギウスもその最期は全身の傷に塩を塗られるという拷問の末に処刑されて命を落としてしまうのだが、斬首された後に死刑判決を下した者達が天から降り注いだ火によって滅ぼされるといった物語が付け加えられている。
ちなみに、キリスト教を信じながら悪魔の化身であるドラゴンを退治した聖ゲオルギウスはイギリスでは聖ジョージとして敬愛され、サッカーで見る機会が多いイングランドの国旗にある赤い十字架はゲオルギオスのシンボルマークである。