中国に水没していく町がある。
決してタイタニックのように派手に沈んでいるのではなく、
少しずつ時間をかけて水につかる面積が増えているのだ。
聞いた感じはヴェネチア(ベネチア)とも似ているが、
この町は少し状況が違う。
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この町があるのは、
中国の山東省にある炭鉱の町
済寧市(さいねいし)。
現在は炭鉱で採掘された石炭を利用した、
大型火力発電所などがある。
四季もはっきりした町で、
気候は温暖。
孔子や孟子を輩出した町としても有名で、
地図を見ればわかる通り
距離的には日本と近い。
この町が水没の危機にさらされている。
大きな原因の1つはこの町の代名詞でもある炭鉱だ。
1960年代にこの地で石炭が発見され、
地元の経済は潤う事となった。
この地を発祥の地としている石炭を扱っていた中小企業は、
エネルギー分野における大手企業へと成長し、
町の労働者の2人に1人はこの会社の社員であるほど。
当然、町の経済や住民の生活は石炭に依存する形にならざるを得ないため、
どんどん炭鉱を採掘していくことになるがやがて問題が発生した。
炭鉱を掘り続けたために町の地下全体に迷路のごとく張り巡らされた洞窟が崩落を始めた。
町の地下の穴の崩落というのは町そのものが地面に陥没していくということ。
また済寧市自体の土地が低いため陥没した穴に水が溜まるのに時間はかからない。
地面に穴が開いては水が溜まり、
住んでいた人間はほかの土地に移住するしかなくなる。
この町に残る選択肢もあるかもしれないが、いつ穴ができないとも限らない。
ここ10年で実に10万人が移住し町から去って行ったという。
現在この地に住んでいる住人は、
先ほど書いたように炭鉱が生活基盤となっているため、
移住したくてもできない状況となっている。
仮に移住したとしても地元政府からの保障は無いだけでなく
就労できる確証も無い。
そのため毎日地面の穴を避けて生活しているだけでなく、
何とかして穴を埋めようと努力してきいるが、
穴の発生に追い付かず八方塞がりとなっている。
町の発展の代償はあまりにも大きく現在も半分以上の穴は放置されている。
残りの半分の穴はどうなっているかというと、
水鳥の観察場に生なった、
太陽光パネルで発電する魚の養殖池として活用されている。
地元当局はこの穴を利用してテーマパークを作る計画をしているという。