シオン議定書は世界中に存在する陰謀論の1つであり、ユダヤ人が世界中を支配しているという説の根拠とされてきたものである。
これまでこの議定書は史上最悪の偽造文書などという不名誉な名前で呼ばれてきた。
その理由は、シオン議定書自体がユダヤ人たちを陥れるために制作されたものだったからである。
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本の内容はユダヤ人たちが裏で世界を支配しようとしているといったもので、1897年にスイスのバーゼルで開催されたという第1回シオニスト会議(シオニストとはイスラエルの地に故郷を再建しようと考える者達という意味)の中で採択された、シオン24人の長老達による決議文書といったものである。
「ユダヤ人の思想が、ユダヤ人の立場と非ユダヤ人(ゴイム＝家畜という意味)の立場から比較してどのようなものかをハッキリさせなければならない」
「この世界には性善な人間よりも低俗な人間の方がはるかに多いことを忘れてはいけない」
「政治において最も力を発揮することは学者の議論ではなく『暴力』や『恐怖』である」
「民衆は物事の表面しか認識していないため、非論理的なものや矛盾に誘われてしまうが、そのような者たちに理性的な助言は功を成さない」
このような内容の本が世界中を駆け巡り、ユダヤ人たちが世界の裏側で暗躍しているといった陰謀論の根拠として使用されることが多くなった。
この本の内容は全てデタラメの偽造文書なのだが、残念なことにそれらを信じている人々はまだ世界中にいる。
デタラメな偽造文書とされる理由は、ロシア帝国内務省警察部警備局(通称オフラーナ)が制作したでっち上あげの文書だとほぼ判明しているからである。
この本が出回ったことでユダヤ人が世界を支配しようとしていると考える人間が増え、結果的にヒトラーが行ったホロコーストの引き金にもなった。
世界の経済の中心には多くのユダヤ人がいることも憎悪の対象となり、一種の集団心理が働いたと考えられている。
当時の人々がユダヤ人を軽蔑し始めたが、皮肉にも
「民衆は物事の表面しか認識していないため、非論理的なものや矛盾に誘われてしまうが、そのような者たちに理性的な助言は功を成さない」
という本の内容が正しいと証明したのはユダヤ人でない多くの民衆達であった。
多くの人間がいいように騙されたのだ。
物事は表面ではなく中身が最も重要であるという教訓になるシオン議定書。
今を生きる日本人にも通じる部分があるかもしれない。
