渡り鳥のように季節によって居場所を変えるアメリカの国蝶オオカバマダラという蝶がその個体数を急激に減らしている。
オオカバマダラの個体数個体数が減っている事は以前から指摘されていたが、近頃になって個体数減少の幅が従来考えられてきたものよりも多い可能性があるという指摘がされた。
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オオカバマダラは北アメリカのカナダ南部から南アメリカ北部にかけて分布する蝶で、西インド諸島、太平洋諸島(オーストラリアとニュージーランドなど)、カナリア諸島とマデイラ諸島にも分布している。
南北3500kmほどに及ぶ分布域内で、1年のうちに北上と南下を行うことが知られている。ただし南下は1世代で行われるが、北上は3世代から4世代にかけて行われる。
春にはカリフォルニア州からメキシコにかけてで見られる。これらは世代交代を繰り返しながら徐々に北上し、夏になると北アメリカ中部まで達する。
そして8月頃、北アメリカ中部で羽化した個体が南下をはじめる。この世代は多くの花から蜜を吸い、体内に脂肪を大量に蓄える。
この脂肪をエネルギーにして、春に移動が始まったカリフォルニアからメキシコにかけての地域を目指す。ロッキー山脈から東ではメキシコのミチョアカン州で越冬し、西ではカリフォルニア州の中部から南部で越冬する。
10月頃にはこの地域の森林地帯で、木の枝に鈴なり状態となったオオカバマダラがみられる。このような木ではチョウの重みで枝が折れることもある。
南下する世代は、北上する世代よりも寿命が長い。この大移動にまつわる報告・研究も数多いが、大移動の理由の一つとしては「幼虫の食草を枯渇させないため」が挙げられる。
Wikipediaより抜粋
この蝶は以前から森林伐採による住処の減少が原因で個体数を減らしているという報告があった。
メキシコでは森林の伐採によるオオカバマダラの現象に歯止めをかけようと、以前から森林保護の活動を行ってきたが、違法な伐採が後を絶たなかった。
近年、メキシコ国内の雇用情勢の安定化が進み違法な森林伐採は減ったものの、依然として個体数の減少が囁かれていたために学者たちは森林伐採以外にも原因があるのではないかと考え始めた。
1つの仮説として浮上したのは除草剤によってトウワタと呼ばれる植物が除草剤によって著しく数を減らしているという説だ。
オオカバマダラの幼虫はトウワタの葉を主食としている。
トウワタのもつアルカロイドを体内に蓄えて毒化し、この毒は蛹や成虫になっても体内に蓄積されているので、鳥などがオオカバマダラを捕食すると吐き出してしまう。
このようにオオカバマダラの生存と密接に関係のある植物が減少することによって、森林保護の成果が無に帰してしまっているといえる。
生物の個体数減少の原因はもしかしたら身近な事が要因となっているだけでなく、多くの要因が重なっていることを教えてくれている。