中米から南米にかけた広い地域で多様な種類が存在するウマバエという昆虫。
日本においてこの昆虫は「インターネットで検索してはいけない言葉」という不名誉なジャンルに輝いている。
なぜそのような不名誉を着せられているのかというと、このウマバエは人間にも卵を産み付ける凶悪な性質を有しているからである。
スポンサードリンク
ハエではあるものの、その最大の特徴は生物に寄生する点である。
ハエ自体は生物の死骸などに卵を産み付けることも多く、日本でも戦時中などには負傷した部分にハエが卵を産み付けたことが報告されている。だがハエ自体は生きた生物に寄生することはほとんどない。
しかしこのウマバエは巧妙に生物の中に入り込み、それを宿主とするのだ。
ウマバエという名前からわかるように馬に寄生することが多く、ウマバエの卵が産みつけられた草を馬が食べることによって体内に侵入し、そのまま体の中で宿主の肉を食べながら成長する。
そのため死んだ馬の肉の中からウマバエが検出されることもある。
このような経緯では人間の体内にウマバエの卵が侵入することは考えにくい。
実はウマバエが人間に寄生する際には、なんと卵を産み付けられた蚊が人間を刺すことで媒介されるという
人間に寄生したウマバエは皮膚の下で孵化し、肉を食い荒らしながら皮膚を破って外に出る(一見グロテスクであるが、体内に留まることが無いというのは人間にとっては不幸中の幸いとなる)。
だが全てのウマバエが何事も無く体外に排出されるわけではない。これまでには人間の脳に寄生し食い荒らしてしまった事例があるなど、油断すれば命に関わる寄生虫となる。
ちなみに、ウマバエの研究者の中には実際にウマバエを自分自身に寄生させて経過を観察する者もいる。
現時点では日本に生息していないことがせめてもの救いかもしれない。