年金に依存する時代はすぐに終わってしまうのかもしれない。
厚生労働省は国民年金納付期間を現在の20~59歳までから64歳まで延長する方向で検討を始めていると報道された。
これは日本人にとって年金問題を考えるいい機会となるだろう。
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このようなことを考えている人はとても多い。事実、国が運営している利点を生かして増税や強制的な徴収などの合法的予算確保が可能なことを考えると、破綻することは無いかもしれない。その一方で年金というシステムは既に機能不全に陥っているという指摘も存在する。
支給開始年齢の引き上げや、2014年度から始まる210円の納付額増という現状を考慮するとお世辞にも年金システムは健全に機能しているとはいえない。
そもそも年金は元本以上を確実に回収してこそ意味がある(中には助け合いという言葉を鵜呑みにする人もいるが実際に得をしている現受給者と損をしている現納付者がいる以上助け合いとはいえない)。
厚生労働省が検討に入った年金納付期間の延長はそうした年金の機能不全を証明する形となっているだろう。一連の負担増を正当化させる理由として、雇用期間が65歳に延長されたことを理由に納付期間も延長したという理由や、納付期間が増えるとその分受給額が上がるといった理由を挙げている。
仮に5年間国民年金納付が伸びた場合、月々15000円×12ヶ月×5年=90万円の負担増になる。この場合支給額は月に8000円上がるとされているが、確実に支給された場合にも元を取り戻すのに9~10年かかる。10年かかってやっと増額分に関してはプラスマイナス0ということになるので、老後の人生設計など出来たものではないだろう(さらに全納付期間で納付額増がプラスされる)。
そもそも年金納付期間の延長に雇用期間を持ち出した場合、雇用延長→納付期間延長というサイクルが完成してしまう。
そして年金システム最大の弱点は人口ピラミッドが逆三角形の時代には機能しないという点だろう。
将来年金がもらえないとはいわない、しかし今の若年層が年金に頼る時代には支給開始年齢は何歳になっているのだろうか。仮に納付期間が70歳で支給開始年齢が75歳からとなってしまった場合、年金の恩恵を受けているなどと考えられるだろうか。
一応もらえるが支給額やそれまでの負担を考えると結局払い損という時代が近づいているかもしれない。現時点で納付期間延長と納付額増のダブルパンチ、盲目的に年金を払っておいて損は無いなどとは言葉に出来ないご時世だ。