定年退職は65歳、それまで地道に働いて老後はゆっくり出来る。日本の多くの人が考える普通の生き方に暗雲が立ち込めている。
これまで日本の生産年齢15歳以上65歳未満であったが、今後少子高齢化による深刻な労働力不足に陥ることが明白であることから、生産年齢を70歳までとした新生産年齢の定義付けが進んでいる。
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そこで50年後に人工1億人維持(このままでは8700万人とされている)を目指す目的の一環で、仕事や社会活動参加に高齢者が参加しやすくするために新生産年齢を設定する方向で検討中であるという。
一方で日本国内が深刻な労働力不足であるかと問われた場合には疑問の声が上がるだろう。雇用情勢は回復の兆しを見せてはいるものの正規雇用の求人は多くなく、非正規雇用者の増加が進み、同時に機械化が進むことで人間の仕事が少なくなっていくという現実も控えている。
また、新生産年齢に位置づけられた人々を雇う企業側からしてみれば、年功序列(今後は形骸化の一途を辿ると見られているが)によって給与額が多く、経験こそあるものの体力的なアドバンテージが少なく、パソコンスキル等も若い世代に劣ることは否定できない高齢者を雇用し続けることで本来ならば若い世代を複数雇用することが出来るはずの枠が埋まってしまうという可能性がある(若い世代の雇用不安が続く)。
今回の新生産年齢の制定の本当の目的に年金の実質的な破綻が大きく関係していることは間違いないだろう。現在の生産年齢が65歳であること、年金の支給開始年齢が65歳であること。これを根拠として生産年齢の上昇を理由に年金支給開始年齢を引き上げる動きが活発化することは容易に想像できる。
多くの労働者が70歳で定年を迎えた場合、80歳が寿命であるとすると残された時間は10年。肉体的には既に自由がきかない場合が多く、怪我や病気も一層多くなる(仕事を長く続ければ尚更)。日本政府が労働者を税金獲得の駒としてしか見ていない様に感じるのは錯覚なのだろうか。
新生産年齢設定は思わぬ波紋を広げることになるだろう。