休日という概念があまりに少ない我々日本人にとっては全くもって信じられない試みがアメリカで広がりを見せている。
それは休暇日数を無制限にするという試みで、アメリカのハイテク業界などで従業員の休暇を無制限に認める企業が目立ち始めたという。
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アメリカで広がっている無制限の休暇取得。CNNの報道によると、バージニア州に本社を置くアメリカの投資教育・金融情報サービスの分野における最大手の1つ、モトリー・フール社のマシュー・トログドン氏は、
「休暇日数の規定なし、というのがわが社の休暇制度」
「仕事を各自が最も力を発揮しやすい方法でやり遂げてくれればいい」
として、社員の休暇日数は無制限であることを語った。
一部の人間から
「日数を無制限にしてしまった場合、必要以上に休暇を多く取るようになるのでは?」
という質問が上がったことに対して、
「休暇日数なんて数えていないのでわからない」
と回答し、休暇日数の無制限化は至極当然であるという認識を示した。
そして、同社では毎月くじ引きを実施。当選した場合、30日以内に2週間の休暇を取らなければならない。休暇中は職場との連絡は一切禁止される。
DVD販売や動画販売大手のネットリックス社も休暇に上限は設けていない。
実際にアメリカ国内でこのように休暇無制限を実施している企業は全体の1%(それでも十分多い)だが、ベンチャー企業やハイテク企業を中心に確実に増加傾向にあるという。
そして実際に従業員が取る休暇は平均約3~4週間で、これら制度により人材確保・勤労意欲・労働生産性の向上が期待できるという意見がある。
残念ながら、日本でこのような制度が導入されることは間違いなく有り得ないだろう。
アメリカでは労働者のパフォーマンスがいかに発揮されるかということに重点が置かれているのに対し、日本では形だけでも、いかに長時間働いたかということに重点が置かれている現状がある。多くの疲弊しきった日本人が休暇を必要とし、それが体調や精神状態に表れているにもかかわらず、休暇=会社にとって申し訳ない悪しき行いであると考える人が多く、会社側も足元を見る形で必要以上の長時間労働を強いるという悪循環が存在する。言わば長時間労働(無駄な時間含む)そのものが、他の人もみんなやっているという理由で免罪符となってしまい、短時間で仕事をこなすこと=手を抜いてサボっているに決まっている、と根拠なく認識する人が多い。
このような環境に身を置く日本人は、毎日同じサイクルで動くため、特定の曜日に嫌悪感を持ってしまうことさえもある。
これは、日本人が世界的に見ていかに休日が少ないかということと密接に関係している。
日本人の多くが思い込んでいる労働時間=成果という考え。実はすでに否定されていて、日本はOECD加盟国の中でも労働時間は圧倒的に多いが、労働生産性は最下位(笑)である。
全て欧米を真似るべきとは考えないが、マジメで勤勉と言われている日本人こそ、休暇日数を自主的に判断し、的確な自己管理の下で最高のパフォーマンスを発揮することに向いているのではないだろうか。