近頃は喫煙者への風あたりが強くなる一方だが、まだまだ会社内にいわゆるタバコ休憩と呼ばれる習慣は根強く残っている場合が多い。
喫煙者にとってはまさに無くてはならない習慣であるが、一方の非喫煙者(禁煙者含む)から見た場合には休憩時間以外にもタバコを理由により多くの休憩を取っているように感じることがある。
では、タバコ休憩の時間を単純計算した場合に、会社や同じ職場の仲間にどれだけの影響があるのだろうか?
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そしてその時間を計算していくととんでもない事実が判明した。
労働時間を1日8時間で月20日間
労働日数を年間250日と仮定し残業時間を含まない場合
タバコ休憩は1時間に10分と仮定し
1日6回、合計1時間分タバコ休憩をしたと仮定する。そうすると、タバコ休憩をしている時間は年間で
1時間×250=250時間となる。労働時間は1日8時間であるため、タバコ休憩の年間トータル時間を勤務日数に直すと
250÷8=31.25
つまり31日分と2時間という計算になる。
上記の解を約31日分とした場合、労働日数の8分の1をタバコ休憩に費やしている計算のなるだけでなく、さらに月20日間労働の前提をこれに当てはめると、
31日分というのは1ヶ月半の労働日数に匹敵するのだ。
塵も積もれば山となるように、少しの休憩のつもりでも実はこれほどの損害を与えているのだ。
仮に経営者の立場から考えると、1月半も仕事をせずにタバコ休憩をしに会社に来た人間に対して給料を支払わなければいけないというのは、損失どころか損害である。
さらにその間の生産性も減少することから、本来会社にとって百害あって一利なしであり、喫煙者=会社の損失となりかねないほどに深刻な数字なのだ。
タバコ休憩をしない(できない)その他の社員から見れば、1ヶ月半分の他人の仕事をタバコ休憩しない社員たちで尻拭いしていることになるばかりか、労働時間だけを見た場合に、1月半分労働時間が少ない社員と同額の給料というのはやはりおかしい。
単純に「ありえない」「ずるい」といった批判が聞かれるだろう。
現在の社会では、タバコ休憩は何故か例外的に許容されることがまだまだ多く、これらのような損失が表ざたになることは少ない。
そして何より、タバコ休憩は労働時間の一部であると判例が示していることもタバコ休憩に拍車をかけている(飲食店という一斉休憩ができない場合だが)。
その裁判は、長時間労働によって心筋梗塞が発症したが、その労働時間の中に1日1時間分のタバコ休憩が含まれるかどうかが争点となった。
この場合、休憩とは雇用者の支配から外れることを指し、いざとなればすぐに戻らなければいけない飲食店におけるタバコ休憩の場合は休憩には当たらないとした(実際には一斉休憩の場合でも命令が下れば会社の指示に従わなくてはいけないため、会社にいるうちは労働者が雇用者の支配から外れることは不可能である)。
裁判の結果、タバコ休憩は休憩時間とは違い労働時間の一部とされたが、あくまで一斉休憩が無く、実質休憩なしのような勤務形態の場合に限られると解釈すべきだろう。
上記のように、タバコ休憩が許されているかと聞かれた場合には、一斉休憩がある場合には許されない可能性があるが、定時に休憩することができない労働環境の場合は労働時間に換算される。
また、タバコ休憩が制約される可能性があるのは、あくまで被雇用者の範囲に限られそうだ。