紀元前と呼ばれる時代、現在から2000年以上も前の時代にイスラエル周辺で青銅器時代(せいどうきじだい)に栄えた古代文明。
今ではイスラエル周辺の遺跡としてこそ残っているが、長く繁栄した文明が滅び去ってしまった明確な理由はわかっていなかった。
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ヒッタイト王国・古代エジプト・ミケーネ文明・キプロス王国など、旧約聖書にも名が登場するほどの古の時代から存在していた文明。
どうやら、これら古代文明が滅びた理由は干ばつが原因で、それまで長い間反映していた文明が急速に衰退し、最終的には消滅してしまったという説が浮上した。
この説の根拠となったのは、イスラエルに存在する国内最大の湖である
ガラリヤ湖の湖底から発見された花粉である。
どうやら花粉は歴史の指紋といえるようなものらしく、その採取された花粉を鑑定した結果、干ばつが起きたと思われる痕跡が発見された。
紀元前1250年ごろに降り積もった花粉はオーク・マツ・イナゴマメの木など、この地域で良く見られる植物であったのに対し、それ以降に降り積もった花粉では砂漠地帯特有の植物が急激に増えた。
これはイスラエル周辺の地中海東沿岸部の文明が衰退していったと思われる時期と重なっていたことがわかり、古代文明衰退の原因は干ばつによるものであるという結論に至った。
このことから、紀元前1250年以降にこの地域がより砂漠に近い気候に変化し、それによって深刻な干ばつを引き起こしたとさみられている。
干ばつによる文明崩壊のプロセスは
干ばつによる被害(農作物への打撃)から逃れるために移住
↓
他の土地の住民を追い出す形となったり、争いが起こる
↓
微妙なバランスで成り立っていた社会のバランスの崩壊
であると見られ、単に干ばつによって滅びたのではなく、干ばつが原因となって食糧不足・治安の悪化・貿易ルートの崩壊・資源をめぐる争いなどを誘発したと考えられる。
環境の変化によってそれまで繁栄を極めた文明が急速に衰退して崩壊するというこのプロセスは、現在を生きる我々にとっても身近な出来事だろう。