芸術の都と称される世界的大都市パリ。
長い歴史を重ね、今も中世の面影が残る世界で最も有名な都市には、エッフェル塔や凱旋門、ルーブル美術館など世界的に有名な建造物や美術品の宝庫であるが、その一方で人骨が大量に眠る観光地が存在する。
日本ではあまり知られていないその奇妙な観光地。
名をカタコンブ・ド・パリという。
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日本人が訪れることはあまりないかもしれないが、現地パリに住む人にとっては非常にポピュラーな観光地となっていて、休日には長い行列が出来ることも珍しくない。
初めてカタコンブ・ド・パリを見た人は
「何故こんな場所に大量の人骨があるのか?」
という疑問を持つ。
あまりに多くの人骨が規則的に並べられた光景を見れば、この場所が墓のような場所ではないと感じるだろう。
実際にこの場所は人骨があるものの墓ではなく納骨堂である。
かつてパリ中の墓地が過密状態になった。墓地の運営は教会にとって大きな収入源であったため、当時の教会関係者は収入を確保するために過密となった墓地に遺体を埋葬するなどした。遺体が増えて周辺の衛生状態が悪くなると疫病が蔓延することになるため、1786年にパリの採掘場の責任者シャルル=アクセル・ギヨモという人物の発案で、採掘後に残った巨大なトンネルを新しい埋葬地(納骨堂)が作られた。
これが現在存在するカタコンブ・ド・パリとなる。
長い時間をかけてパリ中の墓の中から遺骨が移送され、1860年までに納骨された骨は600万人分(現在の茨城県の人口の2倍)にもなる。
現在は一大観光地として多くの観光客が訪れる。
その見た目は恐ろしいものがあるが、カタコンブ・ド・パリは奇妙でグロテスクな場所ではなく、長い歴史の中で住民が衛生的な環境で生活するために誕生した場所なのだ。
パリを訪れた際には是非行ってみたい場所だ。