ノートルダム寺院をはじめとしたヨーロッパ各地の聖堂にはガーゴイルと呼ばれる石像がある。
見てくれは悪魔や魔物のような形相で、建物の外側に向かってその口を大きく開けた姿で彫刻されている。
聖堂のような一見すると神聖な場所に何故このような不気味な像が存在するのかという疑問を持った人は少なくないのではないだろうか。
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また教会や聖堂だけでなく民家にも雨水を逃がす為の管がある。そんな多くの建物に共通して存在する樋口が、単なる管ではなく恐ろしい魔物のような姿をしている理由は何なのだろうか。
その理由は怪物の恐ろしい形相を曝すことで悪霊等の悪しき存在を寄せ付けずに建物を守る為であると考えられているからである。毒を持って毒を制するようなこの発想は日本でいう鬼瓦と似た役割を果たしているのだ。
ガーゴイルの語源はフランス語のガルグイユで、さらにそのもとになった言葉はラテン語のgar(水の音を表す単語)という言葉である。
そしてフランス西部の都市のルーアンではガーゴイルの伝説の元となったガルグイユというドラゴンの伝説が伝わっている。
聖人である聖ロマヌス(聖ロマン)がガルグイユを倒し、ルーアンの地でその体を焼こうとしたのだが、火を吐いていた首は炎への耐性があり焼くことが出来なかった。首をどうした者かと考えた聖ロマヌスは、教会の壁に首を取り付けて魔除けにしたという。
ガルグイユが倒されたその日を記念して、聖ロマヌスの祝日には罪人1人を解放することが許されるようになった。
またガーゴイルのもう1つの存在意義として、識字率が低かった時代の民衆に対し、教会の中に悪は無いという意味合いを持つシンボルという効果があった。一方、聖職者の中にはガーゴイル像は偶像崇拝ではないかと反発する者も存在した。
今も聖堂から街を眺めるガーゴイル。不気味な見た目の裏には意外な役割があるのだ。