世界史を習えば間違いなく耳にする名前である「十字軍」。
1096年から長らくイスラム教徒の支配下にあった聖地エルサレム奪還を目的としたキリスト教徒によって編成されたこの軍隊。
多くの伝説や迷信を残している十字軍であるが、現実的に考えた時に資金という問題に直面する。当時の不安定な情勢の中で何故安定した資金が供給されたのだろうか。
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十字軍は1096年に始まる第1回十字軍を皮切りに1300年近くまで続いたキリスト教会全体による聖地(エルサレム)の奪還作戦である。
エルサレムはキリスト教徒とイスラム教双方にとっての聖地であったが、長らくイスラム教徒の支配下に置かれていた。
第1回十字軍は、のローマ皇帝であるウルバヌス2世がイスラム教からの聖地奪還を各地に呼びかけ、コンスタンティノープル(現在のイスタンブール)からエルサレムへと進んでいったことから始まる。
聖地奪還には多くの兵力が必要で、それだけでなく兵士を養っていくための資金も必要不可欠であった。ここで資金の問題が現れるのだが、同時に十字軍の正義とはかけ離れた実態が表面化する。
最初に十字軍が資金源として目を付けたのはユダヤ人であった。
当時のユダヤ人には高利貸しをする者が多く、そこに目を付けた十字軍はユダヤ人から資金を調達した。返済が迫った場合や貸し渋りが発生するとユダヤ人はキリスト教の敵とされて財産を奪われるなどした。
もう1つの資金源としては、本来は仲間や同士であるはずの少年兵や女性を奴隷として売買して資金を調達する方法があった。そして祖国には当然奴隷として売ったなどとは公表せずに、勇敢に散っていったという虚偽の報告をしている。
つまり、十字軍の資金は略奪と人身売買によって生み出されたものであり(もちろん各国や教会からの資金も存在する)、その資金を使用して各地に砦を建造し、国を建国している。
テンプル騎士団など、十字軍が元になって成立したいくつかの集団には必ず黄金(資金)の話題が付きまとう。
そしてこれらの資金は血塗られた黄金といえるのだ。
して時が流れ、十字軍は多くの悲劇と埋蔵金を残して歴史から姿を消していった。
歴史を紐解くと、真のヒーローに出会うことは少ないのだ。