タイノエと呼ばれる虫をご存じだろうか?これは魚の口の中に寄生する寄生虫の名前である。
普段はあまり目にする機会は無いこの虫が、かつては食事の際に見られることもあったほどポピュラーな虫だった。
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タイノエという名前は、この寄生虫が魚の体の表面や口の中に寄生していることから、魚の餌という言葉が語源の「鯛の餌」→「タイノエ」という名前の成り立ちがある。
タイノエの名が示す通り、魚の口の中に寄生している場合はまるで魚に捕食されているように見えるのだが、実際に餌として食べられているのは魚の方なのだ。
この寄生虫に寄生された魚は口の中や体のへばりつき、そこから体液を吸う。または体の組織を傷つけ、再生した細胞を餌としている。これが引き金になり、寄生された魚は栄養失調や発達障害を起こすとされている。そして、一度寄生されてしまうと魚に出来ることは自身の栄養分を提供することだけである。
タイノエやその仲間は宿主に寄生したのちに性転換を行う。生まれた状態の時は雌雄が決まっておらず、なんと先に魚に寄生した方が雌となるのである。
日本では江戸時代の頃から縁起のいいものとされていたという記録もある。
どうやら魚の口の中に珍しいものが入っていたというような認識だったらしい。
ちなみに、もし人間が口にした場合でも特に害はないとされているが、食べてみたいと思う勇者は決して多くないだろう。