ダークマターという物質の名前を聞いたことがあるだろうか。
直訳すると暗い物質という意味を持つダークマターは、正体不明ながらその存在が確実視されている物質である。
今後宇宙に関する新発見の際には耳にする機会も多くなるだろう。
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1970年代になって銀河系の観測が進むと、銀河の内部と外部でその回転速度があまり変わらないことが明らかとなり、その原因として挙げられたのが銀河外縁部に存在するナニカである。
観測が進むと、銀河系の回転以外にもナニカの存在を思わせる現象(光の歪み)が明らかになり、さらには宇宙が存在するためには質量を持った見えない物質の存在が必要不可欠であるという考え方が一般的となり、その正体不明の物質はダークマターと呼ばれるようになった。
ダークマターは宇宙全体の密度の約4分の1(26.8%)を占めているとされ、残りの73%の内、既知の物質が4.9%、ダークエネルギーという正体不明のエネルギーが68.8%である(宇宙を構成する物質の大部分は正体不明ということになる)。
ダークマターの正体についてはさまざまな説があり、候補とされて考えられていたのは黒い天体(白色矮星・黒色矮星・中性子星・ブラックホールのように星の一生を終えた天体)と呼ばれるものだったのだが、黒い天体の質量ではダークマターの存在を証明するには少なすぎることが判明し、現在は否定的な見解が多くなった。
そこで新たに登場したのが、モノポール・ニュートリノ・アクシオンといった物質がダークマターの正体だとする説だ。その中で最も有力視されているのがニュートラリーノという素粒子である。
ニュートラリーノは超対称性理論という理論において存在が予言されている物質で、科学者はダークマター=ニュートラリーノであると考え、様々な実験や調査を行ってこの物質を見つけようとしている(ニュートラリーノの存在は今も確認されていない)。
ダークマターの正体については多くの研究者達が盛んに研究を行っているが、その結果、可視光だけでなく電波・赤外線・紫外線・X線・ガンマ線などの電磁波では観測できないこと、既知の物質とは相互作用しないことが判明している。
2007年にはハッブル宇宙望遠鏡とすばる望遠鏡によってダークマターの分布が画像化された。
近い将来、ダークマターの正体が明らかになるだろう。