日本で社会問題となっている危険ドラッグが若年層の間で大きな広がりを見せているようだ。
危険ドラッグは少し前まで脱法ドラッグという名称で呼ばれていたのだが、国や警察庁は薬物の危険性を明確に示す目的で違法ドラッグと命名したものである。
そんな薬物が若年層の間で蔓延しているという。
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警視庁のハピョウによると、危険ドラッグが原因と思われる交通事故件数は、2012年に5件・2013年に9件だったのだが、2014年には7月28日時点で11件という増加を見せている。神奈川県では元県議会議員が、愛知県では現職の交通課警察官が逮捕される事態になっている。2014年の上半期には全国で116件の検挙があり、その内34%が20代であった。
中でも若年層の間で大きな広がりを見せている。遊び感覚(興味本位)で手を出すことが多いようで、集団でタバコを吸うような感覚で始めることが多いという(1人では踏ん切りがつかないが、集団心理によって理性が抑えにくくなるため)。新宿や渋谷といった多くの若者が集まる繁華街では、多くの危険ドラッグを扱う店舗が並んでいるが、危険ドラッグは違法ではないことや個人的な鑑賞目的であるという理由を持ちだすことで摘発を逃れている現状だ(販売店への捜査目的の立ち入りが出来ない)。
違法薬物ではないので、その値段も安価であることも若年層を引きつける魅力となっているようで、危険ドラッグの使用が若者の間である種のステータスや集団の結束を認識する手段として使用されているのだろう。
危険ドラッグの中には覚せい剤以上に害がある成分もあり、幻覚や意識障害、錯乱状態に至る可能性もある。法の網をかいくぐる目的で多くの薬物が混在しているので、中身にはどのような成分が入っているかを特定することは困難で、仮に発作のような症状が発生して病院に運ばれても使用した薬物が不明なので結果的に治療が出来ず命を落としてしまう事例も多い。
危険ドラッグ排除には多くの課題があり、危険ドラッグが街中で簡単に手に入る現状や、使用者の認識も根本的に変えていかなければならない。
中でも最も重要で難しい課題が使用者の意識だろう。「タバコや大麻より体への害が少ない」といった間違った認識を持つ者も多く(大麻がタバコよりも影響が少ないという誤認と同じ)、中には酒の代用品として使用している場合もある。
1度手を出せば脳に薬物を求める新たな回路が構築され(食欲や睡眠欲と同じレベルの高い欲求となる)、仮に薬から離れたとしても頭の片隅にはドラッグに対する欲求が一生残ることになる。
危険ドラッグ=かっこ悪いという認識よりも、危険ドラッグ=体に危険という認識を広げていくべきだろう。どんな人でも毒物と知っていて自ら食することはないからだ。
ちなみに、危険ドラッグは逮捕されないという認識にも多少誤りがある。というのも、危険ドラッグの中に麻薬成分が含まれていた場合には摘発対象になるからだ。先述したように、現在出回っている危険ドラッグの多くは成分が不明である。つまり麻薬成分が含まれている可能性も高いのだ。