日本で最も標高が高い山として知られている富士山。
世界遺産にも登録されたこの山であるが、実は過去に何度も噴火したことがあるだけでなく、いつ噴火してもおかしくない活発な火山なのだ。
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その時の噴火は11月23日~12月8日(旧暦)まで続き、噴出した火山灰は江戸の町だけでなく九十九里浜にも到達し。この噴火を最後にして富士山は長い間噴火しない状態になるのだが、だからといって富士山の活動が停止したわけではなく、むしろ噴火のエネルギーが蓄積されていると考える専門家もいる。
現在、富士山周辺で発生している地震の震源分布を見ると、特定の地域に震源が集中していることがわかる。これは富士山の周辺にマグマの溜まりが存在していることを示していて、同時に富士山周辺で火山活動が活発化している兆候がいくつも報告されている。
富士山の周辺には風穴と呼ばれる溶岩トンネルがいくつも存在し、トンネル内部の気温は1年を通して一定で、夏にも氷柱が溶けないことで知られているのだが、2001年以降、風穴内での氷柱の発達が悪く、夏には完全に消滅してしまう年もあるという。
また、富士山の雪が非常に早く溶けてしまい、雪景色を見られる期間も減少傾向にあるようで、双方の原因は共に富士山の地熱が上昇していることだと考えられている(他にも河口湖の水位の異常、湖面での気泡の発生、5合目で発見された地割れや亀裂のように噴火の兆候と見られる現象は多い)。
では、現代社会の中で富士山が噴火した場合、いったいどうなるのだろうか。
最も懸念されていることは関東全域を覆う火山灰の影響だ。
現在、首都圏の道路や鉄道は火山灰の対策を講じていないので、火山灰の影響を受けた場合には深刻な交通の麻痺が起きることは確実で、運悪く雨と共に重くなった火山灰が降り注いだ場合には、電線に火山灰が降り積もって重みに耐えきれずに切れてしまうこともあれば、変電所がショートして大停電になる可能性もある(これに交通の麻痺が重なれば首都圏の機能は停止してしまう)。
そして最も恐れられている被害。それは現代社会でなくてはならない存在となったインターネットである。これを見てくれている人もパソコンやスマートフォンから情報を得ることが多い生活をしているだろうが、火山灰はそんなインターネット使用に不可欠なコンピューターの誤作動を引き起こす。電子機器(テレビ等も)は静電気を帯びているため、微細な火山灰を引き寄せてしまい、その結果誤作動を起こしてコンピューターがダウンしてしまうのだ。
東京のように多くの金融機関や企業が集中している場所で大規模なコンピューターの誤作動が起きた場合、個人の預金情報や信用情報のように非常に重要な情報が一瞬にして失われる可能性もあり(金銭はデータ化されているので、仮に通帳が手元に残っていても金融機関自体のデータが失われてしまった場合、失われた貯金の回収は難しいとされている)、同時に被害情報や警報といった情報を得ることも難しくなる。
交通網の麻痺、電気の供給停止、コンピューターの停止が重なれば復旧の目途は立たず、日本経済は崩壊する可能性も低くない。日本経済の崩壊は世界経済のバランスにも大きな影響を与えることが確実であり、富士山の噴火は日本だけでなく世界にとっても深刻な問題になる。
日本を象徴する富士山は、美しいだけでなく多くの危険も秘めている山なのだ。