人間は権力を持って「人が変わる」とされている。実際にそのような場面に出くわしたことがある人や、今まさにそのように感じている人もいるだろう。
そんな「権力で人が変わる」原因は脳であることがカナダの研究で明らかになった。
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「嫌な上司」
どこの会社でもありふれた言葉で、会社員ならば誰でも遭遇した経験があるかもしれない。そして、パワハラやセクハラなどといった嫌な上司の行動には看過しがたいものがある。
「何でこんなにきついことばかり言うのか」
「何で常に怒っているのか」
「何で愚痴ばかり言っているのか」
このように考えたことのある人は多いだろう。
嫌な上司の特徴としては
・理不尽なことで叱る
・自分勝手
・上司の顔色ばかり伺う
といったことが挙げられている。
また、出世した同期が「まるで別人のようになってしまった」という話も聞くことがある。
「言葉遣いがキツくなった」
「昇進して冷淡になった」
といったことが最たる例だ。
どうやらこれらの現象には「権力と脳」が密接に絡んでいることが原因であると、カナダの研究機関が発表した。
これまでは、「責任が増し、成果が付きまとうため、心に余裕がなくなっている」などの精神論が囁かれていたが、実際には権力を認識した脳の活動が自身の利益に向かう傾向があり、与えられた力を振るう過程で結果的に行動が冷淡になったり、他者の立場で物事を考えることが出来なくなり、所謂思いやりや共感が出来なくなってしまうのだという。それも無意識に。
嫌な上司に対する対処法は日々多くの人に必要とされていることであるが、実際には上司の脳が原因で、しかも無意識下に起こっているのでその対策は難しい(もちろん、ただ性格が悪い人もいるだろう)。
しかし、権力を持ってもそれまでと変わらないという人もいる。研究者は
「権力をコントロールし、他者への思いやりを忘れない人は出世できる人で、権力で人が変わる程度の人は出世できず長続きしない。本来ならば人の上に立ってはいけない器である。」
としている。
自身の器以上のものを背負わされてパンクするというのは、宝くじの高額当選者の多くが悲惨なことになるという構図と似通っている。
しかし、昇進は時として自分の意図しない出来事であるために、根本的な対処は難しいだろう。上司が必要以上に嫌な場合は「この人は器じゃないのに権力を背負わされた人間だ」と考え、その場を何とかやり過ごそう。
そして、どんな人でも組織に属していない状態だととても温厚な人ばかりという話(水谷修氏談)は、休暇や仕事終わりなどの時間に、権力を与えられた会社から一端離れることで脳が正常な機能を取り戻す為だろう。