250px Linepithema Argentine ant アルゼンチンアリの脅威!日本中にも広がっている最強の蟻!
日本国内に星の数ほど生息するようになってしまった外来種の生物。実に多種多様な外来種が存在するが、陸の外来種と海の外来種を総合して考えた場合、アルゼンチンアリ以上の驚異的生物は存在しないだろう。

もしかしたら、あの悪名高い外来種アフリカマイマイなど及びもつかない程に危険な生物かもしれない。

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アルゼンチンアリはその名が示す通り、南米の大国アルゼンチンが原産のアリである。
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このアルゼンチンゼンチンアリの脅威が世界中で知られるようになったのは1980年代で、日本では1993年に生息が確認された。

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現在アルゼンチンアリの分布は世界中に広がり、南アメリカはもちろんのこと、アメリカ南部、ハワイ、オーストラリア、ニュージーランド、日本などの南米と地理的な接点のない国にまで分布している。
日本では1993年に広島で存在が確認され、現在では横浜まで分布を広げている。一説によると既に東京もアルゼンチンアリのテリトリーに入ったとする説も存在する。

そして、アルゼンチンアリが生存可能な気温は5°~35°と、とても南米原産とは思えないほどの耐寒性を備えていて、寒い地域だから熱帯地方のアリは生息できないといったことはないのだ(一応、20°以下の環境では産卵できないというバランス調整が施されてはいる)。
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世界中に進出する原因となった理由は、貨物などに紛れ込んでいた可能性が高いとされていて、これは日本で有名な外来種であるアメリカザリガニやアライグマのように食用やペットとして意図的に持ち込まれた事例とは全く違う。

アルゼンチンアリが脅威である最大の理由はその繁殖力である。
それはまさに凄まじいの一言に尽き、普通にアリは1つの巣に対して女王アリは1匹だが、なんとこのアルゼンチンアリは1つの巣に複数の女王アリがいる。アリの卵は全て女王アリが産む卵であるため、複数の女王アリが存在するだけで単純にネズミ講のような繁殖力がある。

女王が複数存在する理由は熱帯地方特有の気候が原因と考えられていて、降水量の高い時(スコールなど)に酢が水没することがあり、そのような巣の全滅の危機に対するリスク分散とされている。日本などは南米のように過酷な環境でないため、まさに楽園というわけである。
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どのような場所にでも巣を作り、家電製品や民家で巣を作られる被害が相次いでいる。

通常のアリの場合は、他の巣のアリに対してはたとえ同種であっても攻撃を仕掛けて追い返す。つまり、種類は同じアリであるが巣ごとにコロニーが形成されているため、種としての結束は固くないのだがアルゼンチンアリの場合は他の巣のアルゼンチンアリも含めて、全ての同種で1つのコロニーを形成する。そのため巣も巨大となり、オーストラリアやヨーロッパでは、その直径が100kmを越す超巨大コロニーが発見され、1000匹以上の女王アリに100万匹の働きアリが群生するコロニーであったと報告されている(この計算だと1000匹に1匹が女王アリである)

異常な繁殖力に加えて、アルゼンチンアリの地位を確固たるものにしているのはその攻撃性である。
アルゼンチンアリが侵入した地域の在来種のアリ達は、餌を奪われた挙句に皆殺しにされてしまう。人間などの大型動物に対しても凶暴性が鳴りを潜めることは無く、脅威と判断されれば攻撃される(噛みつく)。
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現在、アルゼンチンアリの駆除が各国で行われている。
方法は毒餌を使ったものがあるが、ほんのその場しのぎにしかなっていないという現状がある(根絶はもはや不可能とも見方もある)。
最新研究ではフェロモンを使用して敵であると誤認させることによる同士討ちができるのではないかとされている。

我々が普段何気なく見ているアリも、もしかしたらアルゼンチンアリかもしれない。

同時に、アルゼンチンアリ繁殖の原因を作ったのが人間であることを忘れてはいけない。

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