日本をはじめとした多くの国で個体数の減少が指摘され、保護動物に指定されているコウモリ。
かねてから絶滅の可能性が指摘されるなど、その生息数は決して多くないものと思われていたが、なんとここにきて驚くべき調査結果が明らかになった。
ヨーロッパで欧州環境機関が調査を実施したところ、なんと1993年に比べて個体数が40%増加していることが判明したのだ。
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そもそもコウモリという動物の絶対数が減少してきた原因は他でもない人間であった。
コウモリは洞窟に住むため環境変化(主に気温の変化)の影響を受けにくいと思われがちだが、実際には周辺環境の影響を受けやすい生物であり、人間が森林へと進出するにあたって餌となる昆虫などの数が減ったことが原因でその個体数を徐々に減らしてきた。
主な個体数の減少原因は人間の進出によるものであるが、もう1つの原因としてはコウモリの宗教的な位置づけが挙げられる。
日本などアジアでコウモリが減少した理由は上記のように人間がコウモリの生息環境へと侵入したためであるが、欧米(特にヨーロッパ)ではコウモリは忌み嫌われる不吉な存在である。理由はキリスト教の影響によるもので、不吉な存在とされる魔女と共に描写されることが多かったことなどから、結果的にコウモリが理由も無く殺される場合も多かった(人間がコウモリを殺していたことについては、膨大な個体数を減少させるまでには至らないのではという異論もある)。
そんな中コウモリの個体数の減少が指摘されるようになり、各国で積極的にコウモリほ保護する動きが活発になった。
その結果1993年~2011年の約20年間にヨーロッパに生息するコウモリの個体数は約40%も増加した。
専門家は保護政策による個体数の増加を指摘しているが、人間が森林へと進出する舞台がヨーロッパから南米に移っただけで保護活動による個体数増加であるのか断定できないといった指摘や、コウモリの長い寿命(20年以上の長寿を持つ種類もいる)を考えると、個体数が安定的な数字になるまではまだ時間がかかる(繁殖力は決して高くないため)といった指摘もある。
しかし、結果的にコウモリの個体数が回復していることは喜ばしいことで、一応でも手段を尽くすことで環境の再生は可能であることを証明する形となった。
日本ではあまり見かける機会のないコウモリ、意外な事実である。