深海に住むサメの代名詞であるカグラザメが青森県で捕獲されて話題を呼んでいる。
近頃日本各地でダイオウイカが水揚げされるなど深海生物の発見や捕獲がお茶の間を賑わせることが多く、このカグラザメの発見もそれらと同様に話題の種となるだろう。
深海生物の発見は地殻変動や環境変化の前触れとされることが多く、このカグラザメの発見に不安を覚える人も多いかもしれない。
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定置網に掛かっているところを発見されたカグラザメは2.7mのメスの個体で、これまで青森県でこのサメが捕獲された事例は無いことから県内初の出来事になるという。
カグラザメはホホジロザメやシュモクザメと違い知名度は低い。その理由はカグラザメが水深2000mの水域に生息しているために人間と接触する機会がほとんど無いことが原因である。
しかしそんなカグラザメは実に多くの興味深い特徴を備えている。
その体はサメの中でも非常に大型な部類で(ジンベイザメやホホジロザメよりは小さい)、原始的なサメの特徴である6対の鰓孔(えらあな)を持ち(大部分のサメは5対)、背鰭はやや後方に存在している。普段は非常にゆっくりとしたスピードで泳いでいるが、獲物を見つけると瞬間的に猛スピードで突進する。
食性は同じく深海魚のヤツメウナギやエイ・イカ・カニ等で、アザラシが胃袋から発見された事例も記録されている。
特筆すべきは、深海魚でありながら夜間には水深30m付近に浮上してくる点や交尾期(5月~9月)になると浅瀬にやって来る習性である。また発見数こそ少ないものの、深海という表層の環境変化を受けにくい水域を生息域にしているためか現在までに発見されているサメの中で最も分布する範囲が広い。
青森県でカグラザメが発見されたことによって地殻変動や災害の前触れではないかという声も多く聞かれるが、深海魚であるからといって必ずしも表層に現れることは珍しくないことを頭の片隅に入れておいて損は無いかもしれない。
しかし実際に深海で異変が起きている可能性も0ではない、実際に青森県でカグラザメが捕獲された事例が初めてであり点を考えると用心するに越したことはないだろう。