人間に寄生して害をもたらす寄生虫。
殆ど寄生された実感がわかないままに時が過ぎていく場合もあれば、腹痛や違和感を覚える場合もある。
そんな寄生虫の中でも最も危険な存在はギニアワームかもしれない。
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日本名では「メジナムシ」と呼ばれ、全長は最大で100cmにもなるギニアワームは実に巧妙な経路で人間に寄生する。
ギニアワームの幼虫は水の中に生息し、その幼虫をケミジンコが食べる、そのケミジンコが含まれた水を人間が飲むことで体内に入り込む。
人間の体内に入り込んだギニアワームは1年かけて成虫へと成長しながら体中を這い回る。そして成熟すると足の皮下に移動して水泡を作り出す。
この水泡は言葉にならないほどの激痛を伴い、さらに熱を感じるようになる。そのため人間は患部を水に浸したそうとする。ギニアワームはその瞬間に水泡を破り自身の内部に蓄えていた無数の幼虫を解き放つ。水中に放たれた幼虫たちは再び上記のサイクルを繰り返して人間へと戻って来る。
かつてこの寄生虫はアフリカで猛威を振るっており、年間350万人以上が寄生されていた。衛生的な水を用意することが困難であったことやギニアワームの感染源が水という人間に必要被可決な存在であったことが原因となり、時には集落の人間が集団感染することで激痛のために農作業に支障が出るなど貧困の原因にもなっていた。
事態を重く見たWHOが根絶に乗り出したため、現在では年間に500例ほどにまで数を減らしているが、欧米の観光客が不用意に(湖での遊泳中など)ギニアワームに感染してしまうことも多く、外部の人間にはあまり危険性が認知されていない。
グローバル化が進んでいく時代の中で、今後日本人がアフリカを訪れる機会が増えるかもしれない。その際には飲み水に注意しよう。