聖水と呼ばれる水が湧き出る場所は世界中に存在し、それを求める多くの人が聖水を神の贈物と信じている。
そんな聖水だが、キリスト教が盛んなオーストリア各地に存在する聖水を調べたところ、そのほとんどが飲料水としての活用は危険であるとの調査結果が発表された。
これは熱心に宗教を信じている人に思わぬ悲報となるだろう。
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オーストリアの聖水が湧き出ている場所21箇所と教会の聖水盤(聖水が流れている人工物)の水をサンプル採取し調査したところ
「86%の水が汚染されているために飲み水としては適していない」
「汚染されていない水は14%にすぎない」
という結果がオーストリアの首都ウィーンで開催された学会で報告された。
サンプル採取された水からは排泄物と思われる物質も検出され、その他にも下痢の症状を誘発する微生物カンピロバクターや硝酸塩が検出された。
研究者たちは聖水を飲むことを控えるように訴えかけ、教会の関係者は聖水盤の前に注意書きを置き、細菌の繁殖を防ぐために塩素を入れるようにと警告した。
硝酸塩は人間には無害とも言われているが、多量に摂取すると排泄が間に合わず体内に残留してしまい、体内で発がん性物質を生成するだけでなくアルツハイマーの原因ともなる
汚染の実態は都市部の人口密集地域の教会であるほど聖水の汚染濃度高くなっている。
中世時代、都市部の水の衛生管理は今と比べれば非常に劣悪なもので、水道の水の多くが汚染されていた。それに対して郊外の森に存在する湧き水の方は汚染されていなかったために「聖水」とされるようになったと考えられている。
21世紀になり、都市部の水道は比較的安全になった一方で、森の水源は農薬などで汚染され、昔から存在する教会の聖水も中世時代と変わらない衛生管理であることが多いため、もはや我々の想像する聖水は存在していないのかもしれない。