海外旅行に行った際に多くの人が時差ボケを経験する。
夜なのに眠ることが出来ない。体がだるくなり食欲も減るといった症状が起きるのだが、これは病気ではなく時差によって発生する生活リズムの乱れである。
日本と海外では昼と夜の時間にズレがあり、体がすぐに順応出来ないことが原因だ。
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そんな体内時計であるが、飛行機に乗って海外へ出発すると、体内時計では活動する時間なのに現地では夜の寝る時間であったり、本来は眠る時間なのに現地では真昼の時間であったりすることから、体内のリズム(体内時計)が狂ってしまう。こうして人間は時差ボケになってしまうのだ。
時差ボケは世界共通で同じように発生するのではなく、日本から東のアメリカ方面へ行く場合と、西のヨーロッパ方面に行く場合とで影響が違う。アメリカ方面での時差ボケよりもヨーロッパ方面の時差ボケの方が体に感じる負担が軽いのである。
その原因は、東(アメリカ方面)へ行くと現地時間が日本の時間よりも前にずれ、西(ヨーロッパ方面)に行くと現地時間が日本の時間よりも後ろにずれることだ。
人間の持つ体内時計は1日を24時間周期としているわけではなく、本来は25時間なのだ(この実際の時間との1時間分のズレを朝の時間や起床時に浴びる太陽やあくび等のアクションによってリセットしていると考えられている)。
このため、体内のリズムを体内時計よりも後ろ(西側)にずらしたところであまりリズムが狂わないのだが、逆に体内時計よりも前(東側)にずらすと調子を崩しやすくなるという。これがアメリカ方面に行くと時差ボケがきつくなる理由だ。
いつもより早い時間に眠るのは難しいのに、少し夜更かしすることは誰にでも簡単に出来るという人は多いだろう。それと同じである。
体内時計を前後にずらした際、前にずらした場合には体内で1時間分のずれを調節出来たのに対し、後にずらした場合には1.5時間分のずれを調節出来たという実験結果も報告されている。
勘の鋭い人は既に気付いているかもしれないが、時差ボケの解消に欠かせない存在は光である。一般的に光は目で感じるとされてきたのだが、光による覚醒効果は全盲の人に対しても有効であったことが明らかになっている。
アメリカのコーネル大学の実験で、暗い部屋で光を膝の後ろに当てたところ、なんと3時間も体内時計がずれたことが明らかになった。どうやら人間は目だけでなく皮膚で光を感じているらしく、その効果が表れやすい部位が膝裏だというのだ。
時差ボケの対策としては、少しでも光のある場所に行くだけでなく、普段は隠している膝裏に光を当ててみると良いだろう。