エボラ出血熱が世界中で蔓延している昨今、ウイルスとは何かという疑問に関心が集まっている。
人間に襲い掛かる多くの病気の原因として知られているウイルスは、感染したり増殖したりをしているのだが、はたして生物なのだろうか。
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①自分を複製(細胞分裂)出来る(DNA・RNAといった塩基を利用した複製)。生殖行動を取る。
②代謝する(光合成や、他の生物を消化してエネルギーを得ること)。
この2つの条件を満たしたものを生物という。ではウイルスは上記の条件を満たしている存在なのだろうか。
ウイルスはタンパク質で構成されたエンベロープと呼ばれる外側の殻(無い場合もある)とカプシドと呼ばれる内側の殻があり、このカプシドの中にDNAやRNAが包まれている。これだけでは生物の条件を満たすために不可欠な細胞も消化器官も無い。つまりウイルスとはDNAやRNAがタンパク質の殻によって保護されているだけなのだ。
ウイルスは他の生物に寄生して自己複製を行っている。これは上記①の条件を満たしているのだが、ウイルスは代謝をしておらず、食べることもエネルギーを作ることも呼吸もしていない。よってウイルスは生物ではないことになる。
蛇足だが、生物ではないウイルスは人間の身近に存在し、何かのきっかけで猛威を振るうことが多々ある。1918年に流行したスペイン風邪はインフルエンザウイルスによる伝染病で、感染者6億人、犠牲者5000万人という記録的な被害を出した。当時の世界人口は18億人程度だったので、3人に1人がスペイン風邪に感染したことになりる。日本でも5500万人の人口のうち40万人が死亡したとされている。
今もエボラウイルスが世界中に蔓延する懸念が広がり、予断を許さない状況が続いている。
ウイルスの存在が日本人にとって身近になる日も遠くないだろう。