コウモリと言えばやはりバットマンのような黒いコウモリをイメージする。しかし、オレンジ色のコウモリが世界には存在しているのだ。
世にも珍しいオレンジ色のコウモリはインドヒオドシコウモリと呼ばれ、コウモリにあまり馴染みのない日本ではあまり知られていないが、場所によっては幻のコウモリと呼ばれている。
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これまでに存在が確認された生息地は、ブルネイ・中国・インド・インドネシア・マレーシア・ネパール・スリランカ・ベトナムの乾燥した森林。普通のコウモリと違って洞窟や人家の屋根の下には生息していないが、バナナの葉の裏などに隠れ、家族のようなコミニティを形成していたり、コウモリには珍しく単独で隠れていることもある。
体長は5cmほどで羽を広げた全長は15~30cmほどになり、コウモリの中では比較的小型か中型。
詳しく分かっていない生態も多いが、普通のコウモリのように洞窟や屋根の下といった見つけやすい場所には生息せず、オレンジの色が太陽の光と重なり保護色となるために発見は極めて困難であると同時に、国によってはコウモリに触れるだけでも許可が必要となるため、捕獲となれば研究目的の生け捕りであっても既定の手続きが必要な場合がある。
近頃の主な生息地とされている場所は中国南東部とインドが主で、それらの地域でも決して個体数は多くなく、タイ南部のコン・ケーンという村周辺では既に個体数が100体を切っているという指摘もあり(洞窟に生息するコウモリは場所によっては数千万匹単位で生息している)コウモリとしての個体数は決して多くない。
国際自然保護連合(IUCN)の定めた保全状況ではLC(軽度懸念)に分類され、現時点では急激に絶滅に向かう恐れはないとされている。これは同時に以前からインドヒオドシコウモリの個体数は多くなかったことを示し、これまで一部の学者に懸念されてきた人間のテリトリーの増加によって棲み家を追いやられていることは無かったようである。
アメリカなどではハロウィンバットとして剥製標本が販売されていることがある。日本ではコウモリの剥製標本といえば骨格標本が一般的であり、上の画像のような剥製標本を見かける機会はほとんど無いが、海外ではこのような本物の剥製に需要がある。
ちなみに、先述したようにコウモリは多くの国で保護動物に指定されていて、日本でも鳥獣保護法に基づいて保護動物に指定され許可のない捕獲は禁止されている。場合によっては手に取って見るだけでも捕獲とみなされ、最大で30万円(より悪質とされる場合100万円)の罰金を科せられる(弱っているコウモリを助けることは捕獲に含まれない場合がある)。
コウモリが住み着いた場合に、業者が捕獲することなくコウモリを追い出して出入り口を塞ぐことしか出来ないのはコウモリが保護動物に指定されているからである。
日本では吸血鬼の印象などからコウモリが血を吸う不気味な生物と思われがちだが、中国では「蝙蝠」の字が「福が偏り来る」という意味の「偏福」に似ていることから幸福の象徴とされているだけでなく、1晩に蚊を2000匹も捕食するという素晴らしい一面もある。