サケ(鮭)は自身が産卵する際に生まれ育った故郷の川に戻って産卵することで知られている。その特殊な生態は他の生物には見られない習性であることから時には義務教育の教科書に掲載されることもある。
そんなサケやウミガメのような里帰りするという生態を持つ生物が他にも存在した。
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その正体はなんとサメであるという。里帰りする習性が確認されたのはニシレモンザメという種類のサメである。
ニシレモンザメはあまり名前を聞くことの無いサメで、日本の周辺海域には生息していないサメであり、生息海域はアメリカとメキシコ西海岸、および南米東海岸とカリブ海である(最近は西アフリカでも確認されている)。
非常に浅い海域(100m以浅)に生息し、体の色は金褐色(黄色)やオリーブ色や灰色などバラエティに富んでいる。
また3.6mと非常に大型になるが甲殻類や魚を捕食するために人間が被害にあうことは少なく、1580年から人間が襲われた事例は22件しか報告されておらず死者は出ていない。
生息する浅い海域は溶け込んでいる酸素の量が少ないがニシレモンザメはその環境に適応し、マングローブが多く生える場所や河口にも生息しているため普段は沖に出ることは無いのだが、最近の研究では交尾のために長い距離を移動することが判明している。
ニシレモンザメが2年に1度ラグーンにて産卵をすることは以前から指摘されていたが、同じ個体なのかといったことが詳細が判明していなかった。そこで発信機を取り付けて生態調査を実施したところ、なんと毎年春に同じラグーンに戻り産卵していることが判明した。
他にも孵化したニシレモンザメが15年後に再び戻ってくることや、成熟したメスのニシレモンザメは2年に1度里帰りすることが判明している。
この発見はサメの生態解明への大きな前進であり保護(特定の器官の禁漁)という観点でも注目されるが、時期によってメスのニシレモンザメの生息域が判明することから人間の被害を減らす意味でも期待が寄せられる。
ちなみにニシレモンザメはとても飼育に適しているため、水族館などでその姿を見ることが出来る。