人間の生活とは切り離すことが出来ない程に密接な関係にある石油。
機械の動力源となるだけでなく衣類などのあらゆる製品の原材料にもなり、中東各国のように石油を制する者は世界を制すると表現することがふさわしい程に人類にとって必要不可欠な存在である。
そんな石油が枯渇するという話を聞いたことがある人が多いだろう。しかし、石油枯渇の可能性を巡って2つの学説が対立していることはあまり知られていない。
スポンサードリンク
その石油がいつか枯渇するという説を聞いたことがある人も少なくないだろう。
地下に眠る石油を取り尽した場合に石油が無くなってしまうという一見すると当たり前な根拠なのだが、一方で石油の埋蔵量は有限ではなく枯渇することは無いとする説も存在する。
前者は有機起源説といい、後者は無機起源説という。
有機起源説
地球の表面を覆う地殻の割れ目に土砂が堆積した場所に埋まっていた動植物が長い時間をかけて圧縮されて生成されたものが石油であり、石油の中に生物特有の化合物が含まれていることがその根拠とされている。
有機起源説の中には生物の体内に含まれている炭水化物が石油に変化したという説と土砂等の堆積物に取り込まれた有機物が石油に変化したという説があり、現在主流とされている考え方は後者の説である。動植物の死骸が石油や天然ガスに変わったというこの説は化石燃料という言葉の元にもなっている。
無機起源説
近年注目を集めるようになった説で、石油や天然ガスは地球内部で生成され続けているという考え方で、地球内部に溜まった炭化水素が地殻の裂け目を通って地表へと上昇するうちに石油やガス田になったというものだ。
かつてこの説を主張する者は少なかったのだが、原油の中には有機起源説で主張されている生物の死骸によって石油が誕生したと仮定した場合に辻褄の合わない成分が含まれていることや、原油の存在する場所には古代生物の痕跡がほとんど見られないこと、さらに世界中で発見されている石油の成分が堆積物の年代によるものでなく地域ごとに違っていることに注目した説として支持されている(現在では無機的に油ガスを生成する実験に成功している)。
現在はあくまで有機起源説が主流だが、仮に無機起源説が正しいことが証明された場合には世界中のエネルギー事情やそれを巻き込んだ経済状況に大きな変化があるだろう。
しかし石油が有限であるという説が覆された時に避けて通ることが出来ない現象が石油価格の落ち込みである。各国政府の中枢にまで及んでいる石油利権やロビーの大きさを考えた場合、石油価格の暴落を避けるために各専門機関は有機起源説を支持することが予想される。
我々が真実を知ることが出来る日は来るのだろうか。