日本の食卓に並ぶことの多いマイワシ。
定食等で見かけることが多いマイワシであるが、ここ最近はその漁獲量が減少傾向にあることを知っているだろうか。
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その減少傾向は思いのほか深刻で、1998年と比較して約100分の1に落ち込んでいるのだ。マイワシがタイやマグロのような高級食材となる時代がやって来るかもしれない。
遡ること4年前、2008年のマイワシ漁獲量は20年前と比較して100分の1の4000トン未満であった。マイワシは豊漁の年と不漁の年があるのだが、近年漁獲量が減少傾向にあることや、その量が20年前の100分の1であったことを考えると単純に不漁の問題とはいえないかもしれない。
マイワシがその数を減らしている原因は主に乱獲であるとされているのだが、それだけでなくレジームシフトと呼ばれる現象が大きな要因になっているという説がある。
レジームシフトとは1983年にFAO(国連食糧農業機関)で発表されたもので、大気や海洋生態系等の地球の構造(レジーム)が数十年周期で変化・転換(シフト)していくという現象を意味している。
数十年安定していた気圧や気流(レジーム)が変化(シフト)することで海流の強弱や水温が変化して海面と海底の水が混ざり合い、そうした環境変化と共にプランクトンの数や魚の数も変化するのだという。
北太平洋にはアリューシャン低気圧という巨大な低気圧が発生し、活動が活発なときには寒流が南下する勢力が大きくなり日本近海の海水温が低下する。冷えた海水は海底へと沈んで行き、海底に沈殿した栄養分が浮上することで海は豊富な栄養分に満たされることになる。すると植物プランクトンが増え、共に動物プランクトンも増えることになり、それらを餌とするマイワシも増える。
一方、レジームシフトが起きるとアリューシャン低気圧の活動が鈍化し、暖流の勢力が強くなるため、海底と海水面の水が交わることが少なくなってしまい上記に挙げたプランクトンの発生が起きずにマイワシの数も増えないという。
本当にレジームシフトが原因であるとすれば、数十年後には再びマイワシの漁獲量が回復するということになるのだが、人間による乱獲も大きな要因であると考えられているため、必ずしも漁獲量が戻るとは限らないようである。
需要が減ることなく供給も減っていく場合に価格上昇は避けて通れないもので、今後マイワシが高級食材になっていくかもしれない。