危険な街と聞いた場合、アフリカや中東や南米などに存在する治安の悪い街をイメージするだろう。確かにそのような街も危険ではあるのだが、スペインのアンダルシア地方に存在するセテニルという街は別の方向に危険なのだ。
地震大国日本では考えられないような街セテニル。
岩や崖と共に存在する街だ。
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またその過程で多くの洞窟が出来たため、洞窟に人間が生活し始めたことが街の始まりとされている。
全体を他のヨーロッパの街と同じく狭く細く複雑に入り組んだ道が通るが、街の中でお思わず目を引くもの、それは至る所に存在する巨大な岩と崖である。
その岩もただ転がっているのではなく場所によっては建物の真上にせり出しているなど、地震大国日本に住む我々には想像もつかない場所だ。
セテニルは目の前の海にはすぐにモロッコが見えるなど現在は観光地としても有名だが、その地政学的な原因により古くからイスラム教徒とキリスト教徒の争いの舞台となっていた。
かつてイスラム教徒が住んでいたこの街は、その複雑な地形のために攻略することは難しく、まさに天然の要塞といった役割を果たしていた。
15世紀末期にキリスト教の支配下に置かれた後もその要塞ぶりは変わらず、今度はかつて同地に住んでいたイスラム教徒たちの頭を悩ませることになった。
現在セテニルに住む人々はレンガで岩や崖を補強することで安全(?)を保ちながら何食わぬ顔で平然と過ごしている。
もし日本に存在すれば間違いなく住民に対して退去命令が出ているであろうこの街。
世界の広さや人間の多様性を改めて思い知らされる。