コウモリの棲む場所は洞窟の天井である。
テレビなどで紹介される映像では天井をコウモリが埋め尽くしている部分が放映される。
これだけを見ても鳥肌が立つという人がいるかもしれない。しかし本当の鳥肌は洞窟の内部、しかもコウモリ以外の部分に潜んでいる。
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(食事中や昆虫嫌いな方は要注意!)
コウモリの住む洞窟は多く存在するが、テレビなどで放映される場所は主に東南アジアなどの自然が豊かな地域であり、コウモリの生態が記録されているがその棲家となっている洞窟にスポットを当てた番組は少ない。
そのため多くの人がコウモリの住む洞窟をただの洞窟と思っているのだが(実際にはグロテスクでない洞窟もある)、その実態はただの洞窟というには無理があるもので、食事中にテレビに映れば一瞬で御開きになるようなレベルなのだ。
世界中に洞窟が存在するが、多くの洞窟は太陽光が届かないことから植物が生えない。栄養分が少ないため生物が繁殖することは少なく、存在したとしてもごくわずかな生物だけである。
しかしこのコウモリが住む洞窟はそれら普通の洞窟とは全く異なった性質を持っている。
コウモリが生息する洞窟では、数百万匹にもおよぶコウモリが外で食事をした後に糞をするために床一面が糞まみれになっている。
糞が発酵するので独特のアンモニア臭が立ち込め、発生するガスの作用で洞窟内の気温は高くなる。
中には糞が本来の地面から高さ100mにまで堆積するほどの洞窟もあるが、コウモリの洞窟が鳥肌必至な理由はその糞ではなく、糞に群がり生態系を形成する生物たちである。
地面を覆う糞を覆うようにゴキブリやウジ虫が糞を餌とするために隙間なく集まり繁殖している。そのゴキブリ達を捕食するためにムカデ・アシダカグモ・カニ・大ゲジなどが壁中に張り付き、中にはコウモリを直接捕食するヘビも存在する。
時々コウモリが死にかけの状態で落下してくると、そのコウモリに多くの生物が群がるのだ。
そのサイクルが長い間続いている洞窟であるが、中には人間が観光地として訪れることのできる場所もある。
想像してもらいたい。
糞でとても滑りやすくなっている道、滑って地面に手を突こうものならそこには多くのゴキブリが、ゴキブリを避けて壁に手をつけばそこには大量のムカデやクモが、それらから目を逸らそうと上を見ると天井からコウモリの糞が降ってくる光景を。
コウモリの住む洞窟を訪れる多くの人が上記の体験をする。
中には平気な人もいるが、ほとんどの観光客にとっては鳥肌が立つ光景でしかない。
テレビで放送されているコウモリの洞窟にはこんな背景が存在している。
それを撮ったカメラマンの苦労にはもはや敬意を表することが最適だろう。
本来は人間の領域ではない洞窟、グロテスクではあるが実に興味深い環境が広がっていることに変わりはないのだ。