中東の砂漠の国イランで50年ぶりの大雪が降ったと報道されている。
現地時間の2月1日、イランの首都テヘランでは最低気温-7°という気温が観測され、周辺の地域では積雪3mを記録、交通機関などインフラへの被害を出している。
50年ぶりの大雪と聞けば異常気象と考える人がいるかもしれないが、どうやらこの積雪は異常気象ではないようだ。
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イランが存在する中東地域は砂漠地帯で乾燥した暑い地域という印象を持たれていることが多いが、砂漠地帯の特徴として最高気温と最低気温の差は非常に大きい。
今回積雪が観測された首都テヘラン周辺はそんな砂漠地帯特有の気候を持っているが、北部には山岳地帯が存在するなど比較的寒暖差が激しいだけでなく、寒気のシーズンの平均気温は-5°を下回る場合もあり、最も気温の低い日には-20°を下回ってしまう場合もあるような場所である。
北部には雪に囲まれた山岳地帯があるように、雪との接点は意外に多い。
2014年1月31日~2月4日までにテヘラン周辺で観測された積雪は最大で3m、最低気温は-7°、テヘラン周辺の地域では-18°が記録された。
50年ぶりの積雪ではなく50年ぶりの大雪という表現からもわかるように、テヘラン周辺で雪が降ることは珍しいことではない。しかし、積雪3mは日本ではそれほどまでに珍しいことではなく、気温も寒暖差を除けば東北地方の冬のような気候であるテヘラン周辺で大雪が珍しかったと報道されている理由は、乾燥した砂漠地帯であるため雪(雨)が降りにくいからである。
雪自体は珍しいことではないが、多くの雪が降ることは珍しいのだ。
2005年と2008年にもテヘランには雪が降り、交通インフラに大きな影響を与えた(この時の積雪は最大で1m)。
今回の雪でも電気やガスが寸断されるなどの被害や、雪によって外出不可能になるなどの被害が出た。
今後この積雪が異常気象と呼ばれることがあるかもしれないが、実際には例年よりも多少多くの雪が降った程度のことであると同時に、全くもって珍しい現象ではないのだ。