ボツリヌス菌という名前をどこかで聞いたことがある人は多いはずだ。
実際にどのような菌であるかを知らなくても、その名前からして危険な細菌であることは想像するに難しくない。
その通り、ボツリヌス菌は地球上でも最強の細菌なのだ。
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土の中に生息しながら、周辺に根を下ろしている植物やそれを食べる動物の体内に移り棲む。仮に人間がそれら動植物を食してしまった場合、結果として食中毒を引き起こすのだ。
日本では1984年に食中毒事件が発生し、レンコンにボツリヌス菌が寄生していたために多くの被害者を出した。
ボツリヌス菌が自然界最強とされる所以はその毒性にある。
フグの毒として有名なテトロドトキシンの10万倍とされ、1gで100万人を殺傷する力があるとされている。
この危険性は各国軍隊も目に付け、湾岸戦争ではイラク軍が生物兵器として利用しようとしていたことが判明している。
これを聞けば何とも危険な細菌であるが、ボツリヌス菌は100度のお湯で10分(80度のお湯では30分)程度でほぼ無毒化することが出来る。
ちなみに蜂蜜にはボツリヌス菌が芽胞状態(発芽前)で含まれている場合があるので注意が必要となる(成人ならば取り込んでも問題無いが、子供の場合は危険となる)。
現在も稀に発見されて騒ぎになるボツリヌス菌であるが、土の中という我々の身近な環境を棲家としていることを考えると、人間のすぐ近くに危険が潜んでいるということになるのだ。