江戸っ子1号という名前の深海探査機が深海7800mまでの潜水に成功する快挙を達成し、貴重な映像が記録された。
これまでにはジェームス・キャメロンが友人深海探査機で深海11000mまで潜り話題となったが、この江戸っ子1号が注目される理由はその制作過程が公費を使ったプロジェクトでなく、小さな町工場で開発されたものだからである。
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町工場として世界に誇る技術を有していることを少しでもPRできればという思いがあり、その呼びかけに他の町工場が集まり4年の歳月をかけて大きさ約1.5mほどの3台の江戸っ子1号が開発された。
↓水族館での実験
最終的に開発費は2000万円ほど掛かり(これでも深海探査機としては少ない額)、ついに深海デビューとなった。
舞台となったのは千葉県房総沖の約200km地点の日本海溝付近の深さ4090m、7816m、7860mの深海域で、沈められた江戸っ子1号が回収されて映像が記録されていたことや、機体が無事であったことから7800m以上の深海探査が成功したこととなった。
あまり大きいとは思えないプロジェクトや少ない予算ながらこれだけの成果を上げたことは脅威の一言である。
そして江戸っ子1号が持ち帰った映像には、深海の貴重な様子が記録されていた。
生物をおびき出すために用意されていた餌に無数のヨミノアシロという深海魚が群がっていたのだ。
ヨミノアシロは超深海層という水深6000mより深い海域を生息地としている魚である。
興味深いことは、砂漠と同じくらいの不毛の地といわれる深海において比較的狭い範囲にこれだけ多くのヨミノアシロが生息していた点である(別の見方をすれば、広範囲に生息していたヨミノアシロが何らかの方法で餌の存在を感知して集まってきた可能性もある)。
深海は人間にとって宇宙と同じくらいの未知の場所である。今後さらに日本の誇る技術がその謎を解明していくだろう。