エジプトといえば実に興味深い古代文明が残る砂漠の国というイメージがある。
実際にエジプトは砂漠の国であるが、そこに日本と同じような四季が存在していることはあまり知られていない。
そして驚くべきことにエジプトでは雪が降ることもあり、日本人が想像する砂漠の国とはかけ離れた一面を持っている。
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赤道付近で砂漠という条件から非常に気温が高い国で、雨がほとんど降らないというイメージを持った人が多い。確かに、実際のエジプトは気温が高く雨もあまり降らないが、意外なことに雪が観測されることがある。
実はエジプトの気候は日本と同じように場所によって異なり、首都カイロの夏の気温は25℃~35℃程度と日本とほとんど変わらない(冬は10℃~25℃とさすがに日本よりは高い)。
首都カイロを離れたシナイ半島に存在するシナイ山では12月~1月にかけて積雪がある。
シナイ山に積雪があることからエジプトには雪が降るとえいるのだが、これでは決して珍しいことではなく、我々日本人がそれを耳にした場合はエジプトに雪が降るという言葉の解釈で驚くことになる。
しかし、シナイ山でなく首都カイロで、ピラミッドやスフィンクスが存在するあの地域で雪が降ったとなれば実に珍しいことになるのだ。
カイロで雪が降るのは数十年ぶりであるとのことであるが、何故珍しいことなのかというとカイロの気候は雪が降る条件を満たしていないからである。
雪が降る条件(地上で雪が降る場合)は地上の気温が3度以下で上空1500mの気温がマイナス6度を下回っていることである。
カイロ付近でこの条件が満たされることは少なく、雪が観測されたのは1979年以来34年振りで、今回のように一面が白く覆われるほどの積雪は100年振りとされている。
雪が降った日は12月13日で気温は10℃を下回っていたようだが、上空の気温がより低く空気が乾燥していた場合には地上の気温が9度であっても雪が降る可能性がある。
今回雪が降った原因は、日本にも猛威を振るう可能性のある3波型寒波と考えられる。
偏西風の蛇行により極地の冷たい空気が一気にエジプト上空に運ばれたと考えられるため、エジプトに雪が降ったからといって異常気象であると騒ぐ必要はないだろう。