ヨーロッパに存在したキリスト騎士団の中にはその勢力の拡大と共に強大な経済力を持つに至った者達も少なくない。
テンプル騎士団や聖ヨハネ騎士団等がその最たる例となるが、マルタ騎士団という騎士団がそれらと同様に莫大な資産を持っていたことはあまり知られていない。
そしてマルタ騎士団は現在も主権国家として存在しているのだ。
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1309年に本拠地をロードス島に移して以降、1312年のテンプル騎士解散によって多額の資産や資金がマルタ騎士団へと移り、当時イスラム勢力と戦っていた唯一の騎士団であったことからキリスト教の影響を受ける地域から多くの寄付が集まった。
1552年にオスマントルコの侵略を受けて本拠地であるロードス島を失うが、バチカンの助力を得てマルタ島へと移転して活動を続けていたが、1789年にナポレオンにより本拠地マルタ島を奪われ、それまでに培った膨大な財産は行方知れずとなってしまう。
騎士団の領土ともいえるマルタ島を失ったものの、バチカンはマルタ騎士団の主権を認めた。そのため現在もロードス及びマルタにおけるエルサレムの聖ヨハネ病院独立騎士修道会(通称マルタ騎士団)という領土を持たない主権実体として存在し、キリスト教国をはじめとした世界94ヶ国と外交関係を持ち国連にもオブザーバーとして参加している(日本は国として承認していない)。
現在、マルタ騎士団の首長は選挙によって選出される終身職の総長で、同時に大公(国王と同じ意味)の称号を持ちバチカンからは枢機卿に任命されている。事務局はイタリアに持ち、独自通貨を持たずその経済報告(GDP)は不明である。
騎士団という立場やGDPが不明であることから秘密結社のような噂が多く流布している。マルタ騎士団の騎士は外交官として治外法権を持ち、海外でも自由に行動することが出来る。また総長はバチカンの枢機卿であることからその資産運用にも係わっているとされ、公にすることが出来ない隠し財産や闇資金の真相を知っているという説や、騎士団が特別な扱いを受けているためキリスト教国の闇資金を運用可能で、既にマルタ騎士団は多額の資金を持つだけでなく、欧米各国に国家予算に匹敵する貸し付けがあるともされている。
そんな異色のマルタ騎士団、何故か日本でその存在を知っている人は少ない。