sleeping japanese 11 自爆営業の実態!社会問題になることで減少するのか?
近頃は自爆営業という言葉が聞かれるようになった。

世間に認知されるようになった理由は、郵便会社が年賀状販売と称して社員に対してノルマを課していることが明るみに出たためである。

スポンサードリンク

事の発端は朝日新聞に掲載された記事である。内容は、郵便事業会社が年末に向けた年賀状販売を行う際に、正社員や非正規社員を問わず1人につき3000枚~10000枚のノルマを課しているということだ。

これを巷では自爆営業といい、仮にノルマを達成できなかった場合のに自己負担で商品を買い取るという非常にグレーな営業である。

最近になって自爆営業という名前で認知されるようになったが、実際にはこのような所謂ノルマを社員に課している会社は少なくない。

近頃問題になっているブラック企業にも通じる問題なのである。

社員に対して何かしらのノルマを課して、結果的に社員が精神的に追い詰められてしまうことも問題であるが、最大の問題はノルマを課された社員に金銭的損害が発生していることである。そして事実上の損害であっても社員が自身の意志で買い取っているとしてしまえば法的問題は発生しないことである

最近になってこのような問題がクローズアップされるようになった理由は、景気の低迷による雇用不安を背景にした労働者と雇用者の絶対的な上下関係が表面化していること、解雇という言葉を後ろ盾にしたある種の圧力が会社社会全体に広がったことが原因であると考えられる。

金銭を稼ぐ手段の1つである被雇用者(社員)という立場を守るために金銭を支払うという矛盾した構造が完成してしまっているのである

このような自爆営業の実態は許しがたいものがあるが、見方を変えればある程度の経済循環という考え方もできる。悪い言い方をすれば共存関係といったところである。

会社の利益が無ければ雇用も生まれないという解釈ができることも自爆営業がまかり通る原因となっているのだろう。会社は自身の利益のために、労働者は自身の雇用維持のための自爆営業である。

これまでに幾度となく指摘されてきた自爆営業やそれに類似する事例。

新聞社=押し紙と呼ばれるものがあり、販売店に対して契約部数以上の新聞を買い取らせ発行部数の底上げを狙ったもので、新聞社はその存在を否定しているが、新聞発行部数の減少幅が新聞の需要に対して明らかに少ないことや、販売店と新聞社との間で裁判となったことから存在はほぼ確実である。裏には販売店契約解除という後ろ盾が存在する。

洋服販売会社=主に各店舗の店長が売れ残った服(スーツなど)を自腹で買い取っている場合がある。これは店舗に対するノルマが存在し、それを下回った場合には人事部の権力を使った降格(実質的な減給)や解雇をチラつかせた圧力があり泣き寝入りしている実態がある。

コンビニ=お中元やお歳暮のギフト買取などの定期的な新商品などをフランチャイズ契約する店舗の店長が自腹で買い取ることがある。

携帯販売会社=新型機種の入荷台数などを握られていることが多いため、事実上の販売台数のノルマのようなものが存在し、社員1人で不必要な携帯回線を複数契約している場合がある。

保険会社=新規の契約が取れない場合に、社員自身やその親族を加入させることがある(ノルマがすぐに達成できる数字の場合も多い)。

家電量販店=売れ残った家電製品を自腹で買い取ることがある。

また、これらの自爆営業にはノルマ達成を強制しているのではないという厄介な点が存在する。無言の圧力で「これ買い取って?」と聞けば多くの人がその背景を読み解いてしまい自爆営業が成立してしまうのだ。

確かに労働者側に自爆営業をするかどうかの選択権があるのは事実だが、現実にはその上記のような圧力に屈してしまう場合が多い。

そして、多くの労働者が自身の立場を守るため(当然のことであるが)に自爆営業を許容している現実があり、アメリカのような訴訟社会ではなく事なかれ主義の日本では大きな問題とはならずに、社会人はみんなやっているからしょうがない程度の問題にしかならず、自爆営業がいかようにも解釈可能であるために法整備も困難であると考えられ、社会からこの理不尽を抹消することは困難だろう。