医療技術が発達したこの時代、レーシック手術と呼ばれる方法で低下した視力を回復させる治療法が盛んになてきた。多くの芸能人やスポーツ選手がレーシック手術をしたと公表していることからより一層身近なものとなっている。
そんな先端医療が広がる裏で、治療後の目の異変を訴える患者が増加していると報道された。
そして消費者庁もレーシック手術を受ける際には注意するべきという声明を出している。
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レーシック手術を受けた患者が術後に目の異変を訴える被害は年間10件近く寄せられているとされ、被害を訴えることは無かったものの術後の目に何らかの異変を感じるようになった患者の数は、レーシック手術を受けた人数の40%にもなるという。
主な自覚症状としては
・目の痛み
・目の周辺の筋肉の痛み
・乱視(角膜や水晶体の歪みで焦点が合わなくなる)
・ドライアイ
・光をまぶしく感じる
といったものがあり、場合によっては失明する事例もある。
どのような手術でも術後に何らかの異変が起きることは決して珍しいことではないが、レーシックの術後の異変が深刻な扱いを受ける理由は視力に直結する異変だからである。
人間は外部の情報の80%以上を視覚から取得する。
そのため視力の変化にはより一層敏感になるだけでなく、80%の情報を取得する器官の異変により多くの恐怖を感じるのだ。
レーシックはレーザーで角膜を削ることで焦点を合わせる手術であるが、1度削った角膜は現代の医療技術では再生不可能であるためにハイリスクに感じる人が多い傾向にある。
また、レーシック手術を受ける年齢層は比較的若年層が多く、手術は必ずリスクを伴うという認識が比較的少ないことも原因と考えられる(安易なファッション感覚で手術をするなど)。
そしてレーシックが一般的になってからあまり時間が経っていないために、術後の患者の視力が年を重ねてどのように変化するのかというデータが無い状態である。
最悪の場合は失明という結果が考えられるが、これは糖尿病などによって膵臓(すいぞう)を全摘出する場合と同じく1つの器官の機能が完全に停止することと同じである。
しかし、視力に関しては先述したように人間の感覚に直接関わる器官であるために、万が一異変が起きた場合のリスクは他の器官とは比べ物にならないものとなる。
この事態に消費者庁は
「安易に手術を行ことはせず、インターネットなどで情報を集めてレーシックのリスクを認識したうえで、さらに医療機関から説明を受けてはじめて手術に踏み切るべき」
と勧告した。
レーシック失敗の際の損害は計り知れないものがあるが、成功すれば視力が回復する魅力的な医療である。レーシック手術=悪ではなく、どのような手術にはリスクが付き物であるという認識も決して忘れてはいけない。